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再会49

『まぁ、それはさておき。そのアーイスというエルフは、魔法道具を作る際に必要な道具を所持していると思う?』

 ヒヅキの問いに、フォルトゥナはううむと難しい顔で考える。

『聞いた話ではありますが、アーイスは魔法道具の製作を嗜む程度には造詣があるらしいので、魔法道具作製時に必要な道具ぐらいは所持しているかもしれません』

『そうか』

 そのフォルトゥナの言葉にヒヅキは頷きながら、どうしたものかと頭を使う。

 アーイスが住む場所は、ガーデン南に広がるショッリの森の中に在る名も無き村。そこは森で迷子になってはじめて辿り着けるかもしれない場所に在り、カーディニア王国では遥か昔の記録が辛うじて残っているだけで、人々の記憶からは忘れられた村であった。

 そこにアーイスが住んでいる事も、その村までの道のりも、村を訪れた事があるヒヅキは把握しているのだが、ただ、ヒヅキはその村を苦手としていた。現に、ガーデンに来る途中では、わざわざ迂回するような道を選んだほど。

 というのも、ヒヅキはその村に二度関わった事があるのだが、その二度とも村を危機から救っている為に、一部からは神様かその使いのように崇められている。それがヒヅキには非常に居心地が悪く、避ける理由でもあった。

 もっとも、ヒヅキを崇めているという点ではフォルトゥナも同じなのだが、個人と集団の違いというのは結構大きい。まぁ、個人でも困ることに変わりないのだが。それに、フォルトゥナに関しては心苦しさもある。

 しかし、現在フォルトゥナには価値がある事が次々と判明しているので、ヒヅキはフォルトゥナが個人で崇めるぐらいであれば目を瞑る事にした。それでも、その度に苦い思いを感じてしまうが、こればかりはしょうがない。

 それはさておき、今は魔法道具作製の為に名も無き村を訪れるかどうかだ。

 エルフの国よりも近いとはいえ、前述の理由により、進んでいきたい場所ではない。それに、行ったからといって必ず欲しい道具が在る訳ではなく、たとえ在ったとしても秘匿しているらしいので、手に入るか借りられるとは限らないのも悩む理由だ。

 まだ何かあるかもしれないので、ヒヅキはその事をフォルトゥナに話してみる。

『もしその道具が在ったとして、それを貸してくれるか譲ってくれると思う?』

 ヒヅキの問いに、フォルトゥナは少し考えてから答える。

『そうですね……それは難しいかもしれません。余程の知り合いでなければ、同族相手でも道具は貸さないでしょうから』

『まぁ、それはそうだね』

 それはエルフ族に限らず、自分の物を見知らぬ相手に気軽に貸し出すような者も珍しいだろう。それが大事にしている貴重な物であれば尚の事。

 しかし、それは見知らぬ相手の場合。それか顔見知り程度の仲であった場合だろう。

『でも、ちょっと色々あって、一応アーイスからは崇められてはいるけれど、この場合はどうなの?』

『流石はヒヅキ様です! それでしたら、負け犬もヒヅキ様に道具を献上するかもしれません!!』

 驚きと喜びの混ざった声で勢い込んでそう話すフォルトゥナに、ヒヅキは困ったような表情を浮かべる。

『うーん、そうか。あまり気が乗らないけれど、魔法道具は何かの役に立つかもしれないしな……』

 ガーデンの街中を進みながら、ヒヅキは考える。それはもうじきシロッカス邸に到着するというところまで続くも、シロッカス邸が見えてきたところで、どうするか答えは出ていた。

『そうだね、近いうちに一度行ってみるか。その前に人に会ってからだけれど』

『はい!』

 シロッカス邸に到着した時にはそう話を纏める。ショッリの森に赴く前にエインとプリスに会った方がいいという判断から。

 色々身軽になっているとはいえ、今でも二人は裏で仕事をしているようなので、準備期間は必要だろう。

 なのでまずは二人に1度会っておいて、その間にショッリの森に向かって道具を借りるなりして魔法道具の製作をフォルトゥナに依頼する予定。

 それで最初に試しに製作する道具で、魔力の扱いを学んだアイリスにあげる物を作ってもいいかと、ヒヅキは考える。無論、しっかりと魔力の扱いが出来てからの話ではあるが。

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