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再会47

『そもそも、そういった者達は魔法道具を使いこなせていなかったので、宝の持ち腐れではありましたが』

『そうなの?』

 フォルトゥナが続けて話した内容に、ヒヅキは僅かに興味が湧く。

『ヒヅキ様の義手のように正しく使用されれば、魔法道具もその性能を遺憾無く発揮出来るのですが』

『この義手のように?』

 ヒヅキは自身の左腕にちらりと目線を向ける。

『はい。ヒヅキ様はその義手を完璧なまでに正しく御しておられます。その義手の滑らかな動きはその証で御座いますれば』

『へぇ。そうなんだ』

 左手の指を軽く動かして、そんなに大層なモノではないのだがと内心で思うも、とりあえず話の続きを促す。

『この義手を上手く使えなかった場合はどうなるの?』

『指の動きは固く、力加減もろくに出来ないのではないかと』

『なるほどね。魔法道具もそんな感じ?』

『はい。魔法道具が上手く扱えない場合、魔法道具で代用した魔法の威力が落ちる程度ではいいほうで、最悪魔法道具自体が暴発して消滅したり、魔法道具の力が反転して所有者に向けられたりします』

『ふむ。それは大変だな。魔法道具も使い手を選ぶということか』

『はい。魔力を正確に操作出来れば、大抵は完全に魔法道具を扱うことが出来るのですが』

『なるほど。だから私はこの義手を使えているのか』

『はい! 惚れ惚れするほどに見事な魔力操作です。流石はヒヅキ様!!』

 うっとりと話すフォルトゥナの言葉を聞きながら、ヒヅキは心の中で魔力回路を拡張してくれた店主に感謝する。あれのおかげで、魔力を通すのがかなり楽になった。

『しかし、そうか。なら、アイリスさんも直ぐには魔法道具を扱うことは出来なさそうだな』

『そうで御座いますね。今のままですと、簡単な魔法道具を扱うのにも10日は練習が必要かと』

『そうか。それは十分凄いと思うけれど、魔力操作の修得速度は知らないからな』

『エルフの話では御座いますが、子どもが魔力操作を習い始めてそれなりに修得するには3日ほどあれば問題ないかと』

『人間の場合は?』

『どうでしょうか……1月ほど掛かるかもしれませんね』

『そっか。なら、十分素質はあったという訳か。それにしても、やっぱり人間は魔法には向いていないみたいだね』

 魔力を視れない種族というのは魔法には向いていないというのを改めて知ったヒヅキは、そう零す。魔力を感じるのも人間はあまり得意ではない。

『そうですね。ヒヅキ様のように素晴らしき方も中には居られるとはいえ、ヒヅキ様のような方は特別も特別でしょうし』

『はは。そうだといいね。まぁ、時間を掛ければ何とかといった感じか』

 フォルトゥナと会話をしつつ、ヒヅキは思考の隅で、ガーデンを出るまでにアイリスへの講義が終わらないかもしれないと考える。せめて後10日は滞在した方が区切りはいいのかもしれない。

 ヒヅキとフォルトゥナは職人区画を回り、鍛冶場以外の場所にも足を向ける。ただ、やはり午後からの行動なので時間があまりなく、区画内も早足での移動となったが。

 見て回っている最中に商店を見つけた時には、品揃えの確認と必要な物を買い揃える。それからまた見て回るも、フォルトゥナではないが、ヒヅキも全体的に寂しい印象を受けた。

 職人区画を大雑把に見て回った感じ、稼働している工房は半数ぐらいしかなかった。住民が以前よりは減ったとはいえ、復興に色々必要だと思うのだが、工房辺りの稼働率もあまり高くはない。

「ふむ」

 その事に些か疑問を抱いたものの、全く稼働していない訳ではないので、気にする必要もないかと頭を切り替える。それよりもヒヅキはフォルトゥナに訊いておかなければならない事があった。

『そういえば、フォルトゥナ』

『何で御座いましょうか?』

『フォルトゥナが魔法道具を作るとして、ここら辺の工房で用が足りる?』

『材料があればある程度は可能ですが、完璧には難しいです』

『そうか。やはり専用の設備が必要なの?』

『はい。ですが、専用の道具でも可能です。なので、それから作れれば話は変わってきます』

『そうなの?』

『はい。ですが、時間が凄く掛かります』

『どれぐらい?』

『急いで1月半から2月でしょうか』

『なるほど』

 ヒヅキはフォルトゥナの話に頷くも、流石にそれだけ滞在するのは難しい。なので、何か他に方法はないかと思案していく。

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