表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
603/1509

再会45

(まぁそれはそれとしてもだ、長いことあそこは放置していたが、また魔物が発生していないだろうな? 大丈夫だとは思うが、心配ではあるな。それとも、エイン殿下が言っていた遺跡を護る兵士達が何とかしているのか?)

 最後の遺跡で遭遇した兵士達を思い出し、微妙なところかと結論を出す。

 魔物は動物が魔力に晒されて変化するとされていた。しかし、そこには神による穢れも影響している可能性が出てきたために、その穢れの元を浄化したあの遺跡の地下にまた魔物が出現しているかは不明であった。

 しかし、穢れの元を絶っただけで、地下に充満していた穢れまで完全に浄化した訳ではない。もしも誰も居ない間に動物が侵入していた場合、魔物に変化している可能性も在った。

(それが人間である可能性も在るからな)

 魔物に変化する動物の中には、当然人間も含まれている。それ故に、もしも確認の為に兵士が地下に下りていた場合も考慮しなければならない。

(面倒だが元凶は絶っているのだから、新たに出現したとしても弱い魔物だろう。そこは安心できるが、やはり面倒だな)

 魔物と戦った時の頃を思い出し、ヒヅキは小さく息を吐く。

(スキアもだが、出来れば関わりたくないんだがな……)

 そうもいかないのだろうと諦めながらも、ヒヅキはどうしてもそれを考える。しかし、それは叶わぬ願い。そうでなければ、ウィンディーネがヒヅキに付きまとう訳がないのだから。

 一度目を閉じると、ヒヅキは頭を切り替える。その事を考えていてもいつまで経っても答えなどでないのだから。

 かといって何か楽しい事をと思ったところで、そんなモノもなかった。しょうがないので、無心で天井を眺める事にする。

「……………………」

 そうして時を過ごし、フォルトゥナが起きた事で意識を戻す。

「おはよう」

 一瞬遠話を使おうかと考えたヒヅキであったが、日が変わったのだからと普通に挨拶をする。

「おはようございます! ヒヅキ様!」

 ヒヅキが普通に挨拶すると、フォルトゥナもそれに合わせて普通に声を出して挨拶をした。

 その後、朝の準備を済ませて水を飲みながらのんびり時を過ごすと、朝食が出来た事を侍女が報せに来る。

 食堂にはいつも通りにシロッカスとアイリスが先に待っていたので朝の挨拶をしてから、二人は案内された椅子に腰かけた。

 四人が揃うと直ぐに朝食が運ばれ、全員の前に並べられる。

 食前の祈りを捧げた後、歓談しながら朝食を済ませた。

 午前中は場所を移して、フォルトゥナがアイリスへと魔法講義を行う。

 アイリスは魔法に関する才能でもあったのか、講義の内容をどんどんと吸収していき、現在は魔力の扱いについて習っている。

 しかし、アイリスが扱える魔力量は大して多くはないので、魔法を理解する才能はあっても、それを用いて活躍する才能の方はなかった。

 安穏と暮らすならばその方がいいのだが、現在の情勢を考えれば、もう少し魔法を扱えた方がよかったのかもしれない。

 とはいえ、無いものはしょうがないので、出来ることだけ教えていく。

 そんな講義も昼には終わる。

 フォルトゥナとアイリス、それを見学していたヒヅキの三人は、昼食の為に食堂に移動して昼食を摂った。

 午後はヒヅキとフォルトゥナの二人だけでガーデンの街に出る。今回行くのは、前日にヒヅキがフォルトゥナに伝えていた通りに職人区画。

 顔を隠す為にフードを目深に被ったフォルトゥナと共に街中を進み、目的の区画に到着する。

「少し懐かしい、かな」

 建ち並ぶ家々、そこに漂うにおいや雰囲気を感じ、ヒヅキは小さく呟く。

 職人区画は、ヒヅキがガーデンに来て間もない頃に訪れた商業区画へ納める商品を製造している場所で、街中に在って一種独特の熱気が満ちている場所であった。その職人の放つ熱気は、ヒヅキに幼い頃を思い出させた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ