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再会34

「そうだなー。これは何となくでしかないけれど、スキアが襲撃してくる前のガーデンとソヴァルシオンの人口を足したぐらいか、それ以下が現在のカーディニア王国の人口だなー。ソヴァルシオンが戦禍を逃れ、ガーデンもあまり被害が無かったとはいえ、兵士達は大量に失ったからなー。それに、その2つ以外の場所は壊されているしー。ついでに教えるとー、冒険者も襲撃前の半分ぐらいに減ってるなー。ま、それで済んだのは僥倖だと思うがなー。本当、ヒヅッキーには感謝と申し訳なさでいっぱいだよー」

 何処となく他人事のような響きでシラユリは語ると、これでいいかと目でヒヅキに問い掛ける。

「なるほど。では、人口は大分減ったんですね。国境辺りは大変そうですね」

「そうだなー。南側はそうでもないが、他は大変だろうなー」

 探るような上っ面な調子で語り合う二人に、サファイアが呆れたように大きく息を吐いた。

「はぁ。そんな腹の探り合いみたいなものはどうでもいいじゃない。もう少し協力してはいかが? 世界的な危機な訳ですし」

「はははー、まぁそうだなー。冗談はここまでにしておこうかー」

 シラユリの言葉に、ヒヅキは軽く肩を竦める。

 それを見て、サファイアはため息を吐く。

「まぁいいわ。それよりも、現状は分かったわね。つまりはカーディニア王国は衰退したということよ。それでも、亡んでないのだから上々でしょう」

「そうですね。既に亡んだ国も多くあると聞きますから」

「だなー。今でもあの数のスキアを撃退できたのが信じられないほどだもんなー。……ま、私達は何もしてないがなー」

「それ以前までは戦っていたではありませんか」

「ははっ。止められなければ意味は無いよー。ヒヅッキーのおかげで無駄死ににならなくてよかったぐらいさー」

「そんなものですか」

「そんなものさー」

 シラユリは少し寂しげに微笑むも、それも一瞬であった。

「ともかく、現状は良くはないけれど悪くはないのよね。スキアの襲撃はほぼ無いけれど、人口は激減した訳ですし。もっとも、おかげで食糧事情は何とかなっているのですが」

「人手が減っても畑を拡張する余裕ぐらいはあるからなー」

「その分警備が手薄ですが」

「兵士の数が少ないからなー。その辺りも冒険者が担っているが、流石に冒険者も数が減ったからなー」

 ままならんとでも言いたげなシラユリ。

 そんなシラユリに、サファイアは同意とばかりに頷いた。

「かといって、食糧生産を落とせば、今の少ない人口でさえも賄いきれないのよね」

「スキアが小規模でソヴァルシオンのみにしか出現しないからそれも維持出来てるんだよなー」

「情報の収集は行われていますわ」

「結果はいまいちだがなー。やはり隣国まで行ってみればいいんじゃないかなー?」

「それは距離もですが、国境はそう簡単に超えられるものでも無いでしょう」

「今ならいけると思うがなー」

「それはそうかもしれませんが……」

 困ったように口を閉ざしたサファイアに、シラユリは小さく肩を竦める。

「ま、それはソヴァルシオンの冒険者達が決めることだなー」

「ええ」

 サファイアが頷いたところで、シラユリはヒヅキの方に目を向ける。

「さて、思ったよりも長々と話してしまったが、そろそろ戻った方がいいんじゃないかー?」

 その言葉に、ヒヅキはそういえばと思い出す。部屋には窓が無い為に外の様子が判らず、時間の感覚が曖昧になっていた。

「そうですね。長居してしまいました」

 シラユリに返事をしたところで、ヒヅキは手土産の存在を思い出す。

「ああ、遅くなりましたが、これを」

 持ってきていた手土産をサファイアに差し出すと、サファイアは礼を言ってそれを受け取った。

「わざわざよかったですのに」

「お世話になっているのですから、そういう訳にもいきませんよ」

 そう言って手土産を渡し終えると、サファイアの先導で四人はギルドハウスを出ていく。

 その後、ギルドハウスの外で挨拶をして、ヒヅキ達はサファイアと別れたのだった。

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