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再会32

「そうですわね。流石にヒヅキさんといえども、カーディニア王国全土をお一人で調べるのは大変でしょうから、その辺りは当然かと」

「だなー」

 ヒヅキの弁明に、サファイアとシラユリは当然だと頷く。というのも、カーディニア王国は人間界でも有数の広大な土地を有している為に、それをただ回るだけでも普通の人間では数年は掛かるだろう。それを調べながらとなると、普通の人間なら10年ぐらいはみないといけない。それだけあれば情勢など容易に変化するだろう。

 それだけの広さなので、サファイアとシラユリもそこまではするとは思っていなかった。

「それにしましても、ソヴァルシオンを襲撃するスキアについては調査されているのですよね?」

 ソヴァルシオンは冒険者の街と呼ばれている地だ。調査する冒険者ぐらい数多く居る事だろう。

「していますが、出所は分かっていないようですね」

「確かカムヒの森方面から来ているところまでは判ったらしいが、そこから先が不明という話だったなー」

「そうね。森の探索も行われたようだけれど、痕跡は何も無かったと聞いたわね」

「森の中ではスキアは発見されなかったのですか?」

「発見できなかったみたいだぞー」

「なるほど。スキアの行動範囲は広いですからね」

「あの速度で移動しているのであれば、隣国から攻めてきていたとしても不思議ではないでしょう」

 サファイアの予想の可能性も高いが、ヒヅキは神が適当に創っては攻めさせているのだろうなと、半ば確信しながら予想する。

(そうであれば、神の目的は何だろうか? 単なる暇つぶしであれば、攻める数や期間が短すぎるが……)

 暇つぶしでスキアを差し向けたエルフの国では、かなりの量が昼夜問わずに攻めていたとフォルトゥナから聞いていたヒヅキは、サファイアとシラユリの話に疑問を抱いてしまう。

(暇つぶしでないのであれば、偵察か? しかし、神にそんなモノが必要か? 無尽蔵にスキアを創り出せるような存在が)

 聞いた話とはあまりにも違う現状に、ヒヅキは内心で首を捻る。

(では、何が目的だ? ソヴァルシオンは冒険者の街だが…………冒険者が気になるのか?)

 そこまで考えたところで、ヒヅキはウィンディーネの話を思い出す。

(確か、冒険者はその神がこちらに連れてきた者達なんだったか)

 と思ったものの、直ぐに現状の冒険者は半数以上が連れてこられた冒険者の子孫でしかないことを思い出す。

(今更そんな冒険者について知りたいものか? いや、子孫だからこそ知りたいのか? それでも攻めるスキアの規模が小さいのが気になるな)

 ヒヅキはサファイアとシラユリの話を聞きながら考えてみるも、これだと思う答えは導き出せない。それでももう少し考えてみるかと思ったものの、成果が得られそうにないと判断して早々に諦める。

 今は神について考える時ではなく、情報収集の方が大事だろう。

「スキア相手でもソヴァルシオンはまだ問題ないので?」

「そうですね。そう簡単にあの街が落ちるとは思えませんが、状況によるでしょう。ただ、今回の監視結果から言えば、問題無いかと」

「食料の方は?」

「元々ソヴァルシオンは食料自給率があまり高くはありませんでしたが、人口の増加に伴いそれは更に酷いものに。しかし、その分外から持ってきているので、今のところは何とかなっていますね」

「そうなんですか」

「ええ。それに、現在ガーデンでは食料の生産に力を入れていまして、郊外にも畑を拡張しているのですが、それが豊作という訳ではないものの、結構な量の収穫が出来たみたいですよ。それを生き残っているカーディニア王国内の各地へ送っているようで、ソヴァルシオンも含めてそれで何とかなっているみたいですね」

「なるほど」

 サファイアの説明にヒヅキは頷くも、ヒヅキがガーデンに到着時に使った南からの道からは、畑はほとんど確認出来なかった。それは草の丈が高かったのも原因だろうが、南側にはあまり畑を作っていないのかもしれない。

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