表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
589/1509

再会31

「氷の女王って、確かエルフの英雄の名前だったかー?」

 固まったサファイアの代わりという訳ではないのだろうが、横からシラユリが声を掛けてくる。

「そうですね。スキアを撃退し続けていたエルフの英雄の異名ですね」

「ほー。ヒヅッキーはそんな人物と知り合いだったのかー。流石だなー」

 シラユリの感心した言葉に、ヒヅキはどう反応すればいいのか困惑したような顔を浮かべた。

「確かにそこも凄いですが、問題はそこではないでしょう!?」

 暢気なシラユリの言葉に、再起動したサファイアが慌てたように声を出す。

「んー? 何がだー?」

「今訊くべき問題は、どうしてここに氷の女王が居るのか、です! エルフの国を護っていたというのであれば、生き延びたのですか?」

 問い詰めるようなキツイ眼差しでフォルトゥナを見つめながらのサファイアの言葉に、フォルトゥナは少し考え、つまらなさそうに口を開く。

「そうとも言える」

「どういうことですか?」

「こうして生きているから、生き延びたとも言えるという意味」

「え、ええ。そうですね……?」

 少し捻ったようなフォルトゥナの答えに困ったサファイアは、助けを求めてヒヅキの方へと顔を向ける。

 ヒヅキは道中でフォルトゥナから詳しい話を聞いていたので、フォルトゥナが生き延びたのではなく見限ったのだと知っているが、それをそのまま説明してもいいものだろうかと悩む。

「あ、ああ、そうですね……」

 そこで言い淀みながら、ヒヅキはどう説明しようかと言葉を探していく。

「……アルコはエルフの首都が陥落する前に丁度外に出ていまして、それで難を逃れたようです」

「そうでしたの!」

 困ったヒヅキは、結局運がよかった事にした。別に正直に話す必要もないうえに、ヒヅキとフォルトゥナが喋らない限りは誰も真実を知る術はないのだから。

 現に、ヒヅキの説明でサファイアは納得したようだった。これはサファイアのヒヅキに対する信頼度が高いのも影響しているのだろう。

「それでエルフの国が亡んでしまったので、世界を見て回ろうとしていたところに、丁度ガーデンに戻ろうとしていた私と出会って、こうして一緒に外に出ることになったのです」

 そのまま付いてくることになった経緯も誤魔化しつつ、話を逸らしていく。

「なるほどなー。それで、これからどうするか決めているのかー?」

「そうですね、少し気になる事があるので、再度遺跡を調べてみようかと」

「気になる事ですか?」

「はい。ついでにカーディニア王国内のスキアについて調べてみようかと考えています」

 軽く流しつつ、ヒヅキは今思いついた口実を話した。しかし、意外とそれらしい話であった為に、シラユリもサファイアもその辺りについて深く訊いてはこなかった。

「スキアかー。ソヴァルシオンの方にたまに出るらしいが、他は聞かないなー。復興している者達もまだ遭遇していないようだしなー」

「そうですね。そのソヴァルシオンの件を除けば、カーディニア王国内にスキアはもう居ないとも考えられますが、決めつけはいけませんからね」

 それどころか納得したようで、感心したように頷いている。

 目的は人探しだが、様々な場所を巡ることになるかもしれないので、そのついでにスキアについて調べるぐらい簡単なことであった。なので、あながち嘘という訳ではない。

 ヒヅキ自身、スキアの動向について気になっている部分もあるので、咄嗟に出た説明であっても、何処かの段階で調べたいと思っていた。それでも、一応言っておくことがあった。

「カーディニア王国全土を調べるのは流石に無理ですから、スキアについて調べるのも一部の地域だけではありますがね」

 人探しのついでなのでどれだけの範囲を調べられるか不明な為に、ヒヅキは念の為に二人にそう明言しておいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ