再会27
「では、ガーデンでも回復要員は人手不足なのですか?」
「そうだよー。それと医師不足でもあるんだよ。ガーデンの場合は各地の再建の為に労働力を派遣しているんだけれど、それに医師や回復役も一緒に派遣しているからなー」
シラユリの話に、ヒヅキは納得したと頷くと、そのまま話に出たことを問い掛ける。
「各地の再建の具合はどうなんですか?」
「そこそこかなー。現在は近場の町を再建中みたいだけれど、村なら幾つか戻った人が居るみたいだよー。町の方も家は半分ぐらいは再建できたみたいだから、少しずつガーデンも人が減っていくんじゃないかなー? それでも、不安な住民はこのままガーデンに残るだろうけれど……ソヴァルシオンからも流れてくるかもしれないから、ガーデンの人口は大きくは減らないかもだがー」
その辺りはあまり興味が無いのか、シラユリは適当な返事を寄越す。それでも、ある程度は情報を得られたので、ヒヅキとしても文句は無い。
「なるほど」
しかし、それでももう少し詳しく話を聞いてみようとヒヅキはシラユリに質問していく。シラユリはあまり周辺の町などの再建については興味ないようだったが、それでも情報自体はしっかりと収集していたようで、適当な調子ながらも全ての質問に淀みなく答えていく。
一通りシラユリから話を聞いたヒヅキは、シラユリに礼を言って他に訊く事はないかと考える。しかし、ガーデンとその周辺の事情については十分に聞いたので、この辺りでいいかと判断した。
「色々情報をありがとうございました。現状の把握も出来ましたし、ギルドの様子も判ったのはよかったです」
「別にいいよー。それで、あのおっぱいにも会いに行くのかー?」
「そうですね、もう時間も遅いので、一度帰ろうかと。なので、サファイアさんには明日にでも伺おうかと考えています」
「そっかー。なら、今日は泊まっていけばどうだー? 部屋は空いているぞー?」
「ありがとうございます。ですが、勝手に外泊も出来ませんので、今日はこのまま帰ろうかと思います」
「連絡ならこちらから出すぞー? またシロッカスさんところに泊まっているんだろー?」
「はい。ですが大丈夫です」
「そっかー」
残念そうに呟くも、直ぐにシラユリは笑みを浮かべる。
「じゃあ、明日もまた顔を見せてくれないかー?」
「それは構いませんが、寄る時間があるかは分かりませんよ?」
「それでいいさー……いや、一緒におっぱいのところに行かないかー? 最近あっちには顔を出していなかったからなー」
「んーそうですか? では、明日は一緒に伺いましょうか」
「ありがとうなー」
「では、まずは迎えに来ますね」
「わかったー。時間は今日ぐらいでいいのかー?」
「そうですね。多分今日ぐらいになるかと」
明日も午前はアイリスへの魔法の講義なので、ギルドの建ち並ぶ区間へやって来るのは午後からになる。つまりは今日と同じぐらいなので、シラユリの質問にヒヅキは頷きを返す。
それを受けてシラユリは了承したと返した後、今日のところはお開きとなった。
フォルトゥナがフードを目深に被った後、シラユリがギルドハウスの外まで二人を案内する。
別れの挨拶を済ませた後、すっかり日が暮れたガーデンの街を、ヒヅキはフォルトゥナと共にシロッカス邸を目指して足早に進んでいく。
色々情報収集していたとはいえ、ギルドハウスに長居し過ぎていた為に、予想以上に遅くなっていた。一応シロッカス達には遅くなると伝えていたとはいえ、急がなければ到着までに日付が変わりそうな時間は流石に遅すぎる。
二人はほとんど走るような速度で夜の街を進んでいき、出来るだけ早くシロッカス邸に到着するようにしたおかげで、ギリギリ日付が変わる前にはシロッカス邸に到着出来た。
戻ってくるのが遅すぎた為に夕食は既に終わっていたが、風呂の用意はされていたので、二人は前日同様に揃って入浴してから、その日は眠りについたのだった。