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再会10

 二人は前夜と同じように座りながら朝を待つ。

 朝になると、前日に何があったかは分からないが、問題なく門が開かれる。

 門が開くと入国審査が始まり、ほどなくしてヒヅキ達の番になった。

 そこでヒヅキとフォルトゥナは個別に審査される。審査内容は簡単な質問と持ち物検査・身体検査だけ。以前ほど厳しくはないが、囲まれるようにして観察される様は中々に居心地が悪い。

 背嚢の中身がそこそこ在った為に荷物検査で少し時間を食ったものの、問題になるような物は無かったのであっさりと終わった。

 ヒヅキが外に出ると、先に審査を終えていたフォルトゥナが待っていた。それにヒヅキが待たせた事への謝罪を軽く述べて、二人はガーデンの門を潜る。

 1番外側の第1の門の先には、兵士達の宿舎が並ぶ区画が広がるが、ガーデンに入る者達は、直進して次の門前の水が張られた堀に掛かっている橋を渡る。

 第2の門の前にも門番は居たものの、こちらは特に止められる事無く先へと進む。

 門の先には農業区画となっていて、食料の自給自足が行われていた。

 こちらも第3の門前に水が流れる堀が在るものの、こちらは農業用水としての意味が強いように見受けられる。そんな様子を横目に、橋を渡って第3の門前に移動すると、そこで門番に止められて街に入る為の税金を払うことを求められる。聞けば復興の為の財源になるらしい。

 何かしらの証明書が在れば入街税は免除されるらしいが、生憎とヒヅキ達はそういったものを持ち合わせては居なかった為に、大人しく二人分の税金を払う。少額なので痛くはないが、積もり積もれば結構な額になるだろう。

 納税を済ませた二人は、そのまま第3の門を通る。その先には朝日に照らされた居住区が広がっていた。

「とりあえず、何事も無く入れてよかったよ」

 エルフは同盟相手である為に問題ないとは思っていても、それでも不安というのは多少はあった。それも杞憂に終わったが。

「はい。ここがガーデンなのですね!」

 ヒヅキの呟きに頷きながら、フォルトゥナは周囲の様子を物珍しそうに見渡す。

「ああ。とりあえず進もうか。色々挨拶しに行かないといけないからね」

「はい!」

 ヒヅキの言葉に、フォルトゥナは元気よく返事をする。それを確認したヒヅキは、まずはシロッカス邸に向かう事にした。

「ふむ。ガーデンも少し見ぬ間に変わったものだ」

 中央通りの造りは似たようなものではあるが、そこに並ぶ店や通る人が変わっていた。前みたいな洗練された感じというよりも、雑多なモノが入り乱れているという雰囲気を醸していた。

 これはスキアの影響で住む場所を終われた者達を受け入れた結果であろう。ただ、そこに悲愴な感じは無く、行き交う人々の顔には活気が満ちているのが判る。

「スキアの影響ですか?」

 それを直ぐに理解したフォルトゥナの質問に、ヒヅキは頷きを返す。

「この国も領土をスキアに荒らされたからね」

「それでも、国が残っているだけ凄いです!」

「まぁ、そうだね」

 ヒヅキはエルフの国を思い出し、フォルトゥナに頷き返す。実際、スキアを止めなければ国は亡んでいただろうから。

 そのまま、以前と変わったガーデンの雰囲気を見ながら歩いていく。エルフであるフォルトゥナに好奇の眼差しを向けられるも、それだけならば気にはならない。しかし、それ以上にフォルトゥナの美貌に見惚れる者が多い。それは老若男女問わずであった。

 その視線はフォルトゥナへと向けられたものではあったが、目立つ事に居心地悪さを感じたヒヅキは、通りを横に逸れていく。

 大通りを避けた事で人の数は減ったものの、それでもまだ多い。どうやら人口は徐々に回復していっているようだ。

 それでも大通りよりは人の数が減りはしたので、ヒヅキは妥協しつつも、足早にシロッカス邸を目指してガーデンを進んでいく。

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