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再会7

 小箱のふたを開けたヒヅキは、その中身が相手に見えるように持ち替えて、フォルトゥナの眼前に持ちあげる。

「この小箱の中に入っている水晶の欠片は、実はその探している相手の心臓なんですよ」

「心臓、ですか? 水晶の心臓なんですか?」

 小箱の中身を見ていたフォルトゥナは、顔を上げて小首を傾げた。

「私も聞いた話でしかないんだけれど、どうやらこの水晶の欠片が全て揃うと心臓になるらしいんだ」

「どういう意味でしょうか?」

「多分勝手にくっついて塊になるんだと思う。そして、その塊が心臓になるんだろう」

「水晶の心臓…………その方はどのような方なのですか?」

 フォルトゥナの当然の疑問に、ヒヅキは小箱を仕舞いながら、どう答えたものかと思案する。

「これも聞いただけだから詳しいことは分からないけれど…………いや、その前に世界が滅びているという話からしないといけないか」

「世界が滅びている、ですか? 世界が滅びるではなく?」

「ああ。今の世界のずっと前の話なんだけれど――――」

 それからヒヅキは、世界が幾度も崩壊している事、神の世代交代の話を語っていく。しかし、スキアが元々その消滅した世界の生き物だということは話さなかった。

「それで、現在の神が神の座に就く前に居たという神の一柱が作成した存在が、今回探している相手なんだよ」

「先程の心臓の持ち主、ですか」

「そう。どうやら心臓が無くても動けるらしくてね」

「流石は神が創造した、ということでしょうか」

「そうだね。そして、その存在は現在の神と戦える者なんだよ」

「そうなんですか!」

「他の部分でも役立ちそうなのだが、私が探している一番の理由は、そこだからね」

「神に抗える存在ですか」

「そう。だからこそ探している。私は今の神が嫌いなのでね」

 冗談めかしてそう告げるヒヅキではあるが、それは本心でもあった。

「そうでしたか。私はどこまでもヒヅキ様についていきますよ!」

「はは。それはありがとう」

 軽く笑った後に、ヒヅキはフォルトゥナに休憩を終えることを告げて立ち上がる。既に空が白みだしていて、直に朝となるだろう。

 片付けを済ませた後、二人はショッリの森へと入っていく。

 現在が早朝というにもまだ少し早い時刻なだけに、森の中は真っ暗だった。それでも、二人は気にすることなく進んでいく。その歩みは真昼の道を進むが如く迷いがない。

 そうしてショッリの森を進みつつ、ヒヅキは前回森を彷徨いながら開拓した道を元に、ガーデンへの道を頭に描いていた。それは名も無き村を通らない道。

 ヒヅキの半歩後ろを付いてくるフォルトゥナほどではないが、今では自分を崇めるように扱うあの村をヒヅキは苦手としていた。なので、極力近づきたくなかったのである。

 そうして見つけた道を進んでいくも、それは名も無き道を通らないにせよ、商人や旅人などが使っている道に比べれば少し遠回りな道であった。

 ヒヅキから事前にどの方角にガーデンが在るのか聞いていたフォルトゥナはそれに気がついたものの、これが正式な道なのだろうと考え黙っている。

 とはいえ、もしもそう考えずとも、意見を求められたのならばいざ知らず、ヒヅキに対して何か口出しするといのは、フォルトゥナには躊躇われた。フォルトゥナにとって、ヒヅキという人物は絶対なのだから。

 それから森の中を進むこと数日。休憩を挿まずに進むも、まだ森は抜けない。それでも、名も無き村が在った辺りは通り過ぎていた。

「少し木の実でも集めようか」

 位置的に村を過ぎた辺りで、二人は休憩を取る。

 ヒヅキは背嚢の中から木の実を取り出してフォルトゥナに渡しながらそう声を掛ける。ガーデンが近いとはいえ、背嚢の中の食料が少々心許くなってきていた。

「はい! お任せください!」

「まぁ、道中で集めながらでも大丈夫だと思うけれど。あんまり多くても困るからさ」

 背嚢から水瓶と容器を取り出すと、水瓶から注いだ水で容器を満たして、それをフォルトゥナに渡す。

 食料が心許ないと言っても、二人共道中はあまり飲食をしない為に、実際はそこまで食料危機というほどのものでも無かった。

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