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フォルトゥナ6

 スキアを倒した場所の奥へと進むと、そこには鎧や剣に始まり、靴や小道具など大量の魔法道具が、一定の範囲に散乱していた。

「ここは倉庫だったのかな?」

 一部スキアに食べられた跡も在るが、しかしそのどれもが貴重で高価な魔法道具である事には変わりない。残っているのが装備類が多いので、兵士や冒険者たちへの予備装備だったのかもしれない。

 そんなことを思案しつつも、魔法装備にそれほど興味のないヒヅキは、それを無視して通り過ぎていく。

「他に何かあるかな?」

 目を皿のようにして周囲を窺うも、他は民家までも倒壊したのだろう。周囲のほとんどが瓦礫の山であった。

「先程のスキアは、隠れていたエルフを見つけただけか」

 周囲の様子にそう結論付けたヒヅキは、探すのを諦めて次へと進む。

 その道中にも本を何冊か見つけたものの、かなり破損が激しかったり泥にまみれた状態だったりと、とてもじゃないが読める状態の本ではなかった。

「規模が大きい図書館であれば、大きな建物を探せばいいんだろうが、実際は判らないからな。一軒とは限らないし」

 ソヴァルシオンやガーデンのように大きな図書館が建っているのではなく、小規模な図書館が首都内に散らばって立っている可能性を考えたヒヅキだったが、流石に効率的ではないかと、可能性の1つ程度に留めておく。

 首都内には元々整備された道が張り巡らせていたのだろうが、いたるところで瓦礫が道を塞いでいる為に、その面影はあまり見られない。しかし、無事な建物を探すのが困難なぐらいに建物が崩れているというのに、不思議と火の手はどこからも上がっていないかった。木造の家も多いというのにだ。

「本が焼かれないからいいのだが、火を使わないということはないだろうしな。何でだろうか? スキアに襲われながらも、火の始末だけはしっかりとしていたとか?」

 それを不思議に思いつつも、ヒヅキは本の類いが散乱していないかと、地面に目をやる。時折瓦礫をどかしたりするも、無事な本はほとんど無い。首都内を半日歩き回って、何とか読めそうな本を一冊見つけただけだ。それも完全ではなく、終盤の一部が破れていたが。

「大量の本は見当たらないな。この辺りに図書館は無いのかな?」

 見渡してみても、瓦礫の山ばかり。たとえ小規模だったとしても、図書館と呼ばれるほどに蔵書があったのであれば、本の山ぐらいは出来ていそうなものだが。

「しかし、首都は広いな。この階層だけならガーデンほどではないが、それでも広すぎて見て回るだけで疲れそうだ」

 スキアが襲撃してくる前には賑やかであったろう、他よりも大きな道幅の、かつて道であったものの上を歩く。

「首都内に居るスキアの数は減ってきているけれど、それでもまだ結構居るな。それに、上の方も確かめないといけないんだよな」

 エルフの首都は平面ではなく立体的な造りになっている為に、同じ首都内でも、エルフは何層にも分かれて暮らしていた。

「最上層が王族の暮らす場所で、スキアもそちらを目指しているようだな」

 上の方から感じるスキアの気配に、ヒヅキはため息を吐く。まだ最下層ですら満足に探索出来ていないのだから。

「…………多分、上の方から感じる生き残りの気配に反応しているんだろな。どこの階層からの反応かまでは判らないけれど、スキアが少ない今の内にこの階層を調べたいところだが」

 スキアを見つけては排除しているヒヅキは、スキアの多くが上へと向かっている今の内にと最下層を探索していく。しかし、そう簡単に行く訳も無く、刻々と時が過ぎていく。

「生き残りに当たるか? でも、人族であるこちらの話を聞いてくれるのかどうか判らないからな…………」

 そこまで考えて、ヒヅキはふと気がついた。

「図書館が上の階層に在ったらどうしようもないな」

 未だに調べ切れていない最下層を見渡したヒヅキは、どうしたものかと大きなため息を吐いた。

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