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プスィヒ平原

「よし、行っていいぞ!」

 兵士の力強い声を背に、ヒヅキはソヴァルシオンの検問所を通り抜ける。

 街を出る時の検査は入る時よりは厳しくなく、そこまで時間は掛からなかった。

 ヒヅキはソヴァルシオンの外に広がるプスィヒ平原の北西へと歩みを進める。

 チーカイの町を出てから冒険者と一緒だっただけに、旅に出てから今回がヒヅキの初めての一人旅であった。

「平和だなー」

 プスィヒ平原はなだらかな平原なだけに遮るものもなく、容易に遠くまで見渡すことが出来るため、地上部分の警戒が非常に楽であった。

 とはいえ、そもそもプスィヒ平原で見る生き物は放牧されている家畜ばかりで賊さえ滅多に見掛けないため、警戒すべき敵というものあえて挙げるとしたら上空を飛ぶゴーニクという体長20メートルほどの巨鳥ぐらいであった。

 そのゴーニクでさえ活動範囲がカーディニア王国全土でもカバーしきれないほどに広いために滅多にお目にかかれない珍鳥でもあるので、そこまで警戒すべき存在でもないのだが。

 そんな警戒すべき存在のほとんどいないプスィヒ平原は今日もとても平和であった。

「ふぁあ、ちょっと眠くなってきたな……後は天気が曇りなら文句ないのに……」

 気を張る必要のあまりない長閑のどかな風景というものは刺激が少なく、ヒヅキはあくびをしながら旅を続ける。しかしそれも、遠くに人影を発見するまでだった。

「……こっちに来ている訳じゃないのか?」

 発見してからというもの、歩き続けているヒヅキとその人影との距離は縮まらず、むしろ相手が少しずつ小さくなっているようであった。

「あの方角はショッリの森かな?ならその先のガーデンに向かうのか?」

 ヒヅキと同じ方角に進むその人影にそう予測を立てると、ヒヅキは少しの間考え込む。

「敵ではないと思うけど………」

 ヒヅキは少し歩く速度を落とすと、念のために人影が見えなくなるまでそのままの速度で進むことにする。

「ショッリの森に着くまでの予定を2日から3日に変更かな」

 ヒヅキはやれやれと息を吐くと、遠くに見える人影から目を離さずに辺りを警戒する。

 その後、ヒヅキがショッリの森に到着したのは修正した予定通り3日後の夕方であった。

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