表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
493/1509

魔法道具51

 頭頂部付近に付いている三角形の耳をぴくぴくと動かしながら、獣人は周囲の様子を窺っていくが。

「おかしいな、この辺りだったはずだが……」

 困ったように呟くと、獣人は振り向き、ヒヅキの後ろから意識の無い仲間を肩を貸すようにして運んできている獣人へと声を掛けた。

「なぁ、ここだったよな?」

 その問いに、周囲を見回した後方の獣人は、「そうだよ」 と頷きを返す。しかし、どれだけ見渡し耳をそばだてても、周囲に誰か居る様子はない。

「おかしいな」

 先に居る獣人は困ったように首を傾げながらも、周囲を見渡している。そんな獣人の姿を眺めていたヒヅキは、試しに周囲の気配を細かく探ってみるが、どうやら近場には居ないようだ。

 森の中で視界が悪いからか、未だに周囲を確かめている獣人を眺めながら、念のために気配を探る範囲を拡げてみる。先程の獣人三人の様子を思えば、既に息が無い可能性も在ったが。

(ん? これか?)

 周囲にはスキアの反応が多くみられたものの、その中に弱弱しい反応が3つ、固まっているのを見つける。おそらくそれが獣人達が探している奴隷仲間といやつだろうと当たりを付けたヒヅキは、その方角を指差し、前方で未だに探している獣人に声を掛ける。

「向こうの方にそれらしい存在が居るようですよ」

「え?」

 ヒヅキの言葉に、獣人は怪訝な表情を向けるが、それにヒヅキは指を指したまま、再度同じことを口にした。

「向こうって……」

 獣人はヒヅキが指さした方角へ目線を向けた後、ヒヅキの方へと視線を戻す。その後、首を傾げてどういう意味かと問い掛ける。

「では、案内いたしましょう」

 そんな獣人の様子に、ヒヅキは説明を諦め、森の中を進んでいく。獣人達はその背に慌ててついて行く。

「しかし、こいつはいつになったら目を覚ますんだ?」

 ヒヅキの後ろから、そんな声が聞こえてくる。軽く首だけをそちらに向けてみると、未だに気を失ったままの担いでいる仲間へと、呆れたような目を向けている獣人の姿があった。

 足先を引きずるようにして運んでいるその姿は、木の根が邪魔で大変そうではある。しかし、まだ呼吸はしていたので死んではいないはずだが、何も食べていないから返事が出来ないだけかもしれない。

 そんな事を思いつつ前を向いたヒヅキは、反応を捉えている方へと足を向けて進む。流石に反応の方へと移動しているので道に迷うという事はないが、スキアの反応を避けながらの移動なので、少々迂回気味に移動している。

 そのおかげで、目的地まで何事もなく無事に到着する。反応が近くなると、音を拾ったのか獣人がヒヅキの横を通り過ぎて先を急ぐ。

 駆けていく獣人の背を眺めながら、餓死寸前だった割には元気なものだと、ヒヅキは感心しながら背を見送る。

「おぉ! 本当にここに居た!」

 前方で獣人の驚いた声が聞こえてくる。どうやら弱弱しい3つの反応は、目的の人物達で合っていたようだった。

 ヒヅキがその声の許に追いつくと、先に行った獣人が話をしているのが聞こえてくる。近づくことで聞こえてきた話の内容は、どうやら今から首輪を取るという話をしているようだ。

 しかし、そんなことを承諾した覚えはないなと、ヒヅキは小さく肩を竦める。別にやるのは構わないが、その場合は別料金として何かしら要求した方がいいのだろうか? という考えが頭に浮かぶ。

「あ! 本当にここに居たよ!」

 ヒヅキが四人の許に到着すると、そそ姿を認めた獣人が驚いたようにそう口にした。

 そんなヒヅキへと、獣人の奴隷仲間の三人が怯えた目を向ける。見知らぬ相手が恐いのだろう。

 ヒヅキはそんな三人に目を向けて観察する。

 三人はそれぞれが種族が違うようで、一人は最初の三人と同じで獣人だが、少し耳の形が異なる。三人の三角の耳と違い、その獣人は少し縦に長い耳をしていた。あとはあまり毛深くない方の獣人であることか。

 そして残りの二人だが、こちらは見慣れない種族であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ