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魔法道具25

 宿屋を出たヒヅキは、まずは不用品を処分する為に鍛冶屋を目指して道を進む。

「あれ?」

 しかし、鍛冶屋の前に到着するも、肝心の鍛冶屋は閉まっていた。

「時間的には開いてると思うのだが?」

 空に目を向けたヒヅキは、枝葉の合間から覗く完全に明るくなった空を見て不思議そうに首を捻る。

「まぁ、一応」

 そう思いつつ、ヒヅキは鍛冶屋の扉を叩く。

「………………」

 しかし、静かに待っても何の反応も返ってこない。周囲は自分の呼吸音が大きく聞こえてくるほどに静かなので、聞き逃したという事はないだろう。

「しょうがない」

 ヒヅキは気配察知で鍛冶屋の店主の所在を探る。

「ん? この場所は確か……」

 気配察知で見つけた店主の位置と方角を、記憶にある町並みと照合したヒヅキは、その場所に覚えがあった。

「鍛冶場、だったか。義手の製作中かな?」

 ならば邪魔しては駄目だろうと思い、ヒヅキは不用品の処分はまた今度にしようと、町の散策に入る。

「とりあえず、こっちからかな」

 前回の中断した場所が近かった為に、ヒヅキはまずはそちらへと移動する。

「それにしても、誰も居ませんね」

「そうね。町全体でも大した数は居ないわね」

 町中だというのに、誰も居ないためにウィンディーネはヒヅキと会話を始めるが、流石に実体化まではしていないので、声だけだ。

「このままエルフは滅びるんでしょうか?」

「国の外にもエルフは居るでしょうが、そんな事を訊いてる訳ではないわね。ま、今のままなら大丈夫じゃないかしら? 護り手が居る訳ですし」

「氷の女王、ですか」

「ええ。あれはヒヅキと同じように特別だから」

「何者からかの加護を受けている。というやつですか」

「ええ。あれは……方向性が少し違うけれど、もしも1対1で戦った場合は、ヒヅキ以上の強さだと思うわよ」

「それほどですか。であれば、スキアの殲滅も可能でしょうね」

「ええ。本人にその意思があれば、だけれども」

「どういう意味でしょうか?」

「うーん、多分直に分かると思うわよ」

「そうですか。それで、どんな戦い方をするのですか?」

「そうね。普段は氷の魔法を使っているわ。だけれど、本領はそこではない」

「では?」

「それもまた、直に分かるわよ」

「そうですか」

 相変わらず肝心の部分は喋らないウィンディーネにも慣れたヒヅキは、特に気にする様子もなく、また追及も行わない。

「そういえば、ウィンディーネに訊きたかったのですが」

「何かしら?」

「エルフ達の崇める神とは、どんな存在なのですか?」

「ああ、あれね。あれは……何といえばいいのかしらね。皮肉屋で素直なのよ」

「はぁ……そうですか」

 よく分からないといった感じで頷いたヒヅキに、ウィンディーネは少し思案するような声を出す。

「うーん。それならちょうどいいかしらね」

「何がでしょうか?」

「ちょっと寄ってみたい場所があるのだけれど、いいかしら?」

「はい。それは構いませんが」

 特に目的らしい目的もなかった為に、ヒヅキが承諾すると、突然ウィンディーネは実体化して姿を現した。

「さ、こっちよ。ついてきて」

 ウィンディーネはヒヅキを手招きすると、先頭に立って道から外れた森の中を進んでいく。

「何処に向かわれるのですか?」

 その後を追いかけつつ、ヒヅキはウィンディーネに問い掛ける。

「町の外よ。少し遠いから、移動速度を上げていくわよ?」

「え、ええ。分かりました」

 森の中をかなりの速度で移動し始めたウィンディーネの後を追いかけながら、ヒヅキはこれからどこに向かうのかと、一抹の不安を抱く。

 それから程なくして、目的地に着いたようで、森深くでウィンディーネは足の動きを止める。

「さて、ここら辺だったはずだけれど」

 目的地に到着して周囲に目を向けたウィンディーネは、そこで目的の相手を見つけた。

「さ、ヒヅキこっちよ」

 そう言ってヒヅキへと手招きしたウィンディーネは、目的の相手が居る場所へと移動を始めた。

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