映像確認
ギルド本部への報告は驚くほどあっけなく終わった。
というのも、冒険者が受けた依頼内容の確認をした後に、その依頼を達成した証拠になるモノや依頼品があるならそれを提出し、それとは別に―――依頼の内容によるが―――カタグラの映像記録を提出するだけで済むのだから、当然と言えば当然だった。
しかし、そこから映像の確認がある場合は、依頼達成が受理されるのは早くても半日は掛かるらしく、ほとんどの冒険者は映像記録を提出したら別の用事を済ませて後日報酬を取りに来るらしかった。
今回は映像記録の提出以外に、自分たちで映像の一部を確認するための申請も行った。こちらは映像記録を提出前に確認するという名目ですぐに受理されたので、件の映像を確認する。
「この辺りのはずだけど………」
映像再生の機材にサーラのカタグラを繋ぐと、サーラは目の前の画面を見ながら機材を操作する。画面には、小鬼が混乱してリイドたちが押し返しはじめた場面が映し出されていた。
「……………」
ヒヅキはその映像を見ながら、小さく息を吐いた。
「ん~……あ!居た!居た!ほらこれ!」
サーラは映像を停めると、一緒に映像を見ている五人に分かるようにと、画面のある一点を指で指し示した。そこには―――。
「んー……まぁ、見えなくはないけど、はっきりとはしないね」
目的の人物が遠く離れているために、大まかな輪郭ぐらいしか確認出来ず、リイドたちは微妙な顔をする。それでも、確かに言われてみればヒヅキに似ているような気がしないでもなかった。
それについて冒険者五人はヒヅキに問い掛けるも、ヒヅキは曖昧な答えを返すだけで何も語ろうとはしなかった。
それで諦めてくれればよかったのだが、どうしても納得のいかないサーラは映像記録の提出とともに、その映っている人物の解析と、ヒヅキとの照合を依頼した。
後日、その映っている人物とヒヅキが同一人物であるという結果がギルド本部よりサーラの元に返ってきたのだった。