斜陽22
「な、愉快だろ?」
男の問いに、すぐさま傭兵は同意の声を上げる。
「しかし、手は出されやせんので?」
「ん?」
続いた傭兵の言葉に、男はどういう意味かと問うような目を向ける。
「そんな美味そうなエルフを堪能しないんでいいんですかい?」
傭兵の言葉に、男はやっと意味を解して「ああ」 と短く声を出した。
「ハハ! お前は変わった性癖を持っているのだな?」
「へ? そりゃどういう意味で?」
「こんな家畜に欲情するとか、私には到底理解出来んということだ」
男がエルフの胸をもぎ取るかのように強く握ると、エルフはあまりの痛みに悲鳴をあげる。
「亜人はお嫌いで? なら、人間の村人も居やすが、ここにお連れ致しやしょうか?」
媚びへつらう様な物言いをする傭兵の言葉を、男は鼻で笑う。
「ハッ! それも家畜ではないか。……いや、愚民か。人間とは、我々王族や貴族のような高貴な者の事を言うのだよ。ただ搾取されるだけの愚民は、家畜と大して変わらんだろう?」
「そ、そうでやすか!?」
傭兵の戸惑う様な様子に、男は安心させるような声を出す。
「ああ、心配するな。使えるお前達は愚民ではなく私の兵士だ。なので、飽きたらこの家畜はお前らにやろう。その後は、犯そうが殺そうが好きに使うがいい」
「ありがとうごぜぇやす!」
男の尊大な物言いにも、傭兵は媚びるように頭を下げる。そのまま頭をあげた傭兵は、男が手にするエルフの少女へと獣欲にぎらつく目を向けて、舌なめずりをした。
「ヒッ!!」
そのぎらつく瞳に、エルフの少女は気持ち悪そうに引き攣った顔を浮かべる。
「お!?」
そんなエルフの少女の反応に興味を示した男は、エルフの少女から手を離し、傭兵の方へと向けて背中を押した。
「この家畜はお前にやる。どうやら、その方が私を愉しませてくれそうだからな」
「おぉ! ありがとうごぜぇやす!」
男に感謝の言葉を送った傭兵は、早速とばかりに、エルフの少女の腕を強く掴んで、勢いよく手元に引き寄せる。
「イ、イヤ! 離して!」
それを少女が拒もうとするも、
「お前の家族がどうなってもいいんでやすか?」
傭兵はいやらしい笑みを浮かべながら、エルフの少女へ粘つく様な声音でそう囁く。
「ッ!」
それだけで少女は口惜しそうにしながらも、抵抗を止める。それに傭兵は満足そうな笑みを浮かべると、少女の頬を味わうようにねっとりと舌を這わす。
「へへ、では早速!」
そう言うと、傭兵は少女から顔を離し、両の手を少女の胸元へと無遠慮に手を伸ばして、その二つのふくらみを乱暴に揉みしだく。
「おほっ! こんな牛のようにばかでけぇ乳、ソヴァルシオンやガーデンの娼婦にも居やしねぇ!」
その大きさに興奮しながら胸を揉み続ける傭兵に、エルフの少女は涙を流しながら、心底気持ち悪そうな苦痛の表情を浮かべる。
「良い表情をするではないか!」
それを観察していた男は、大層嬉しそうな声を上げる。
「へへ、では次は下の方の味見を!」
「……ィャ」
胸から手を離した傭兵は、少女を押し倒し覆いかぶさると、そのまま脚へと手を動かす。それに少女は掠れた悲鳴を小さく上げた。
「ヒヒ、すべすべしたいい脚だなぁ」
下卑た笑い声をあげながら、少女の脚を撫でていた傭兵はそう言うと、次第にその手を上の方へと動かしていき、太腿の内側に手を滑り込ませた。
「おっと、脚は閉じるなよ!?」
傭兵の言葉に、少女は耐えるように強く目を閉じ奥歯を噛むと、脚に入れていた力を僅かに緩める。
「そうそう。あっしは優しんで、大人しくしてたら悪いようにはしやせんよ」
傭兵は興奮したように息を荒げ、唇を何度も舐めると、その手を更に上へと滑らせていく。
「ん?」
しかし、途中で急に腕の動きが止まってしまったかの様に、伝わってくる感触が途切れた事を不思議に思いながらも、傭兵は腕を動かそうと力を入れる。
「…………ん?」
どれだけ力を入れても全く動かない腕に、傭兵はじれったそうに腕の方に目を向ける。しかしそこには、在るはずの肩の部分から先が無く、その先に付いていたはずの腕は、エルフの少女の脚の間に落ちていた。
「な、な、ななななな、なゃんりゃこりゃああぁぁぁぁ!!!!!!!」
その信じられない光景に、傭兵は呂律の回らない口調で錯乱したような大声をあげた。