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遺跡調査54

 ヒヅキが教会の奥にある教卓に近寄ると、そこには側面に小さく紋章の様なモノが刻まれていることに気がつく。

(……これは……なんの文様だ?)

 それを眺めながら、ヒヅキは内心で首を捻る。

 そこに刻まれている文様は、花のつぼみから蜜が溢れている様な形をしていた。

(うーん。いや、これは花か? 何かの入れ物のようにも見えるが……)

 ヒヅキがその文様を眺めながら思案していると。

「何をしているのかしら?」

 背後からヒヅキの顔の真横に顔を出してきたウィンディーネは、ヒヅキの耳元へと囁くように問い掛けてくる。

「この文様が何の文様かと思いまして」

 それをヒヅキは特に気にすることなく、教卓の側面に刻まれている文様を指差す。

「ん? そんなものどうでもいいじゃない。ただの傷よ」

「そうですかね?」

「そうよ。それか誰かの悪戯じゃないかしら?」

「まぁその可能性もありますが」

「そうよ。それよりも、先に進まなくていいの?」

「…………そうですね」

 ウィンディーネの物言いに僅かに違和感を覚えたヒヅキであったが、それが何か分からないままに頷き、更に奥へと目を向ける。

(…………ふむ)

 奥には、隅の方に目立たない扉らしきものが確認出来た。それを眺めながら、ヒヅキは先程感じた違和感の正体に行き着いた。

(ウィンディーネは何を隠している?)

 ヒヅキは一度、横目にウィンディーネを捉えると、扉の方へと移動する。その間も先程の文様の事を頭に浮かべる。

 あの文様をウィンディーネが知っているのは確実だろう。しかし、何を知っているかまでは分からない。少なくとも、あの文様が何なのかを突き止めなければ、その答えには辿り着けないだろう。

 そのまま扉の前まで移動すると、扉にある僅かな凹みの部分に手を掛け、横に引く。

「……開かない」

 力を入れてもビクともしない扉に、ヒヅキは手を離すと、その扉を観察する。

(これは見せかけではなく、本物の扉だと思うのだが……どうすれば開くんだ?)

 ヒヅキは扉の足下へと目を向ける。床には特に傷は無かったが、扉の地面近くの部分には、僅かな傷があった。

(ふむ……んー……この感じは……)

 暫く考えたヒヅキは、扉に手を置き押してみた。そうすると、扉が少し後ろに下がる。

「ああ、やっぱり」

 そのまま凹みに手を掛け横に引く。扉も石で出来ているだけにやたらと重かったが、それでも何とか人が通れるぐらいに開く事が出来た。

 扉の先は光石が無いのか真っ暗であったので、ヒヅキはまず、光球を先行させて様子を確認する。

 それが済むと、少し顔を動かし、目の端でウィンディーネの姿を捉えた。

「さて、では行きますか」

 そう伝えると、ヒヅキは視線を前に戻して扉の先へと入っていく。

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