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遺跡調査46

 二人は階段に近づくと、それを下りていく。階下からは冷たい風が吹きつけてきていた。

(風が吹いてるということは、何処かで外にでも通じているのか?)

 そこまで長い階段ではなかったので、階下には直ぐに到達した。

 階段を下りると、どこからか微かに水の音が聞こえてくるが、それ以外には上階と変わったところはない。

「ふむ」

 しかし、ヒヅキはそこで考えるような素振りをみせる。

「どうかしたのかしら?」

「いえ、離れた場所に誰かいるような気がしまして」

「あら、やっと気がついたのね」

「……そうですね。私のは感知は、こういう場所ではそこまで感度がよくないので」

 そう返しつつも、ヒヅキは索敵を密に行う。まだ反応は僅かにしか感じられないが、上の階の惨状を思えば、警戒は必要であろうと思えた。

 そのまま二人は奥へと足を踏み出す。

「それにしても、何処かに川でもあるんですかね」

 ヒヅキは何処からか聞こえてくる水音の方角が分からないかと耳を澄ますも、洞窟のような遺跡内を反響していて、正確な方角が掴めない。

 何者かの気配だけではなく、その音も気にしながら、傾斜のついている道を進む。よく見ると、足下が濡れていた。

「しかし、ここまで特に何もありませんでしたが、ここは何の遺跡なんでしょうか?」

 そう考えると、最初の遺跡からして不明であった。唯一分かりそうなのは、壁画が書かれていた遺跡だけだろうか。

「ここは住居跡よ」

「住居跡?」

 ウィンディーネの言葉にヒヅキは周囲を見渡す。暗くてろくに見えはしないが、それでも人が集まって住めるような広さではないのは分かる。

「ええ。人が住んでいたのはもう少し奥の方だけれども」

「なるほど」

「ここは光石が多く採掘出来たから、明かりにも困らなかったのよ。それでも、上にあった光石ほど見事なものはほとんどお目に掛かれなかったけれど」

「ここは光石の産地だったんですか。でも、何故住人は居なくなったので?」

「……遥か昔の話だけれども、ここで穢れが発生したのよ」

「…………」

「神は陰湿だからね。いくらここには陽の光が当たらないからって、行いまで陰気でなくてもいいのにねぇ?」

「……そうですね」

 ウィンディーネの同意を求めるような口調に、ヒヅキは頷きを返しつつ考える。

 穢れは神がもたらすものだと前にウィンディーネが言っていたが、それが事実であれば、神という存在はどんなものなのだろうかと。あの時のウィンディーネの口振りからも、きっとそれがヒヅキの力の答えに繋がっているはずなので、余計に気になってしまっていた。

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