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遺跡調査33

 それに相手にしても無駄だと悟ったヒヅキは、直ぐに次への道を探す。

 元々巨人と大きな椅子が場所を占領していたせいでそこまで広い部屋ではなかったが、巨人の残骸が積み上がった事でそれがより狭くなっているので、壁際までは直ぐに辿り着けた。

 光球の明かりを頼りに、壁伝いに部屋を調べていると、幸い途中で通路に繋がっている場所を発見できた。

 そのまま通路に出てみると、少し行ったところに更なる地下へと続く石階段が姿を現す。

 ヒヅキは罠が無いか軽く調べた後、その階段を下りていく。

「……なるほど。この下に魔物が、ね」

 石階段を下りていくと、途中で階下から気味の悪い気配が吹き付けてくるのを感じ、ヒヅキはそう口にする。

「ふふ。あれも中々の強敵よ」

 ウィンディーネが背後から楽しそうにそんな言葉を投げかけてくる。

「スキアとここの魔物、どちらが脅威で?」

「そうね、単純に比べるのであれば。ここに居る魔物よりもスキアかしら」

「なるほど。つまりはここに居る魔物の方が厄介と」

「あら? スキアの方が強いわよ?」

「ウィンディーネの言い様ではそう聞こえただけです」

「ふふ、流石ね。ええ、強いのはスキアだけれど、ここは少々穢れが強いのよね」

「……なるほど」

「ついでに言えば、魔物は一体じゃないわよ」

「…………」

「ヒヅキがどう戦うのか楽しみね」

「上に居た巨人と戦った時のように、私は相手を斬るぐらいしか能がないですよ」

「ふふ、そうね。そういう事にしておくわ」

「…………」

 意味深な笑みを後ろに聞きながら、ヒヅキは階段を下りていく。

 程なくして階下に到着すると、その部屋は底冷えしそうな冷気で満たされていた。それに階段の途中から感じている気味の悪い気配が混ざり、全身が粟立つような感覚に襲われる。

「これが魔物の気配ですか?」

「そうとも言えるわね」

「?」

「これはどちらかといえば、穢れの空気に近いのよ」

「穢れ……」

(魔物は魔力を帯びた地に出現するらしいが、もしかしたらその魔力というのは穢れの事を指すのだろうか?)

 ふとそんな疑問が頭に浮かんだものの、それをウィンディーネに問う前に、奥から何かがゆっくりと近づいてくる気配を感じて、ヒヅキは光球を適度な長さの光の剣に変えて戦闘体勢に入る。

「魔物?」

「ええ。どうやら相手は一匹、出だしとしては手頃な相手ね。おめでとう」

 ヒヅキの零した言葉に、背後のウィンディーネが明るく祝福するような口調でそう応えると、闇の中から小さな移動音が届く。

「もう少し明かりが欲しくなりますね」

 そこでヒヅキの漏らしたその呟きに応えるかのように、闇の中から魔物がゆっくりその全容を現わした。

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