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遺跡調査31

 それから壁伝いに部屋を一周したヒヅキは、途中で見つけた扉を通って通路に出た。

 その先も相変わらず岩盤がむき出しの通路ではあったが、壁画の類いは見当たらない。

「魔物は何処に居るか分かりますか?」

「んーそうね、この下の階かしら」

 ヒヅキの問いにウィンディーネは足下を指差す。

「なるほど。では、また下へと続く階段か何かを見つけないといけませんね」

 そのまま一本道の通路を進むと、その終点の部屋で石を積み上げて造られた巨人が、大きな椅子に座して待ち受けていた。

「またこういう相手ですか」

 ヒヅキは前の遺跡を思い出し、疲れたような息を出すと、通路に入る前に入り口と部屋の様子を窺う。

「……罠は無いですね」

 確認を終えたヒヅキは、室内に足を踏み入れる。その後に続いてウィンディーネも室内に入ると、それに反応した巨人が動き出して立ち上げる。

「また随分と大きいな」

 ほとんど真上を見上げるぐらいに背の高いその巨人に、ヒヅキはそんなのんきな感想を零す。もしかしたら天井が見えないぐらい高いのは、このためなのかもしれない。

 そんなヒヅキ達目掛け、巨人は拳を振り下ろした。それをヒヅキとウィンディーネは後ろに跳ぶことで回避する。

「やっぱり敵対するのか」

 ヒヅキは巨人が振り下ろした腕を持ち上げるより早く地を蹴ると、一気にその腕の上を駆けあがる。

「とりあえず首から」

 肩まで上ってきたヒヅキは光球を光の剣に変えると、それを伸ばして首目掛けて振り抜く。

 それで首を落とされた巨人ではあったが、それでも腕を動かし、肩の上に居るヒヅキを捕まえようとしてくる。

「おっと」

 それを掻い潜りながら、ヒヅキは落とした首が付いていた場所まで移動すると、そのまま飛び降り、伸ばした光の剣を直ぐに巨人に突き刺し落下していく。

 そのまま縦に割きつつ落下の速度を殺しながらも、ついでに巨人を縦に半分にしたヒヅキは、無事に地面に降り立った。

「よっと」

 着地と共に光の剣を光球に戻すと、通路に戻っていたウィンディーネの許まで跳んで一気に戻る。それと同時に、二つに分かれた巨人の身体は、轟音を立てて背後で倒れた。

「派手なものね」

 ウィンディーネは、戻ってきたヒヅキに可笑しそうにそう言葉を掛ける。

「本意ではありませんよ」

「あら。でも、あんな巨体を直立のまま倒したらああなる事ぐらいは予想できたでしょう?」

「それでも不本意ですよ」

「まぁそういう事にしておくわ」

 ヒヅキは視線を巨人が居た部屋に戻すと、そこには小高い山が出来ていた。幸い入り口を塞いではいないものの、その残骸は部屋を半ばから分断している。もし下の階へと続く階段等がその残骸の下に在ったとしたら、それはとても面倒な事態であった。

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