表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
297/1509

遺跡調査16

 襲撃者を黙らせたヒヅキは、光の剣を光球に変えてから襲撃者の持ち物を調べる。

(携帯食、水筒に数枚のカーディニア王国の硬貨に、これはお守りかな? ふむ、短剣に見えたのは爪だったのか。後は……紙?)

 ヒヅキは、襲撃者が服の中に隠すように所持していた、小さく折りたたまれた紙を見つけて丁寧に広げると、その中身を確認する。

(ふむ? 獣人の使う文字は人間が使う文字と似ているから何とか読めるが、これは手紙……ではないな)

 その紙に書かれていた書面は、普通の手紙の様なモノであった。しかも堅苦しいモノではなく、友人に宛てたような親しげな文面のモノである。しかしそれでも、それを読んだヒヅキは、何故だかそれが友人に宛てた手紙などではなく、何かに対する指令所の様に思えてならなかった。

(書かれている内容を勝手に解釈すると……遺跡から何かを取ってくるという事か?)

 その“何か”が何なのかまでは判らなかったが、ヒヅキはその手紙をそう解釈した。

(とりあえず、この襲撃者が誰かの手の者なのだろうことは判ったが、それはどうでもいい情報だな)

 そこで完全に襲撃者に対して興味の失せたヒヅキは、奥の通路に目を向ける。

 通路に目を向けながら、襲撃者の相手をする前に気になっていた違和感について暫く考えると、その違和感の正体に辿り着く。

(ああ、あそこの壁が少し違うのか。何か罠が仕掛けられているのかな?)

 ヒヅキは慎重にその壁に近づくと、目を凝らしてその部分を観察する。

(ふーむ。これは何かが射出される仕組みかな?)

 壁の僅かな隙間に何かの射出口を認めたヒヅキは、試しに近くに転がっている骸骨の一部を掴んで通路へと投げてみた。すると、通路脇の壁から火炎が噴出して、骸骨の一部がまる焦げになって通路に落ちた。

(この焦げ臭さはこれが原因か?)

 周囲に漂いだした異臭に、ヒヅキは最初に感じたにおいを思い出す。

(さて、どうしたものか)

 ヒヅキは通路を眺めながら少しの間思案すると、光球を光の剣へと変化させる。そして、その光の剣を伸長して射出口に突き刺してみた。

(これで無力化出来たのだろうか?)

 そう思いながらも、確認出来た射出口を全て同じ方法で攻撃していく。それが済むと、もう一度壁に目を向ける。

(大丈夫……かな?)

 問題なさそうだと判断にしたヒヅキではあったが、念のためにと骸骨の別の部分掴み通路に投げた。すると、今度は天井から火炎が噴き出す。

(ああ、そういえば上下もあったな)

 今しがた確認した天井の射出口を潰すと、ヒヅキは再度通路を確認して全ての射出口を沈黙させる。そうして安全を確かめたところで、再度骸骨の一部や切り裂いた鎧の断片を数度投げて安全を確認したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ