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遺跡調査15

 骸骨が動かなくなったのを確認すると、ヒヅキは光の剣を光球に戻して、骸骨が塞いでいた奥の通路に目を向ける。

(ふむ……なんだろう、何か違和感が)

 通路やその周辺に目を向けたヒヅキは、何かがおかしい気がして、つぶさに観察を行う。

(何かが引っかかるのだが…それよりも今は――)

 ヒヅキは攻撃してくる気配を背後から感じて思考を中断させると、振り向き様に光球を光の剣へと変化させて、背後に迫ってきた襲撃者を斬りつける。

「ぐぅあはっ!!」

 襲撃者は咄嗟に身体を捻って回避しようとしたものの、間に合わずに脇腹辺りを深く斬りつけられて苦痛に声を出しながら、一気に後退する。

(ふむ。もう少し浅く斬るつもりでしたが、ちょっと誤算ですね)

 それは襲撃者が予想以上に無能だったから……ではなく、予想以上に襲撃速度が速かったためであった。それでもろくに回避が出来ていないので、有能とは言い切れないが。

(冒険者……ではないかな)

 襲撃者はどくどくと血が溢れている脇腹を片手で押さえながらも、反対側の手で短剣を構えた状態でヒヅキから目を離さずに対峙する。

 そんな襲撃者を改めて確認すると、全身をローブで身に纏い、フードを目深に被ってはいるが、それはおそらく女性であった。

「言葉は通じますか?」

 ヒヅキは腕をだらりと垂らしながら気まぐれにそう声を掛けてみるも、その瞳はまるで硝子細工であるかのように感情の色が抜け落ちている。

「…………」

 対する襲撃者は、警戒するだけで何も反応を示さない。

「そうですか。では死んでください」

 それを受けて、ヒヅキはもう興味はないと、光の剣を持ち上げ地を蹴ろうとするが。

「つ、通じる!!」

 それを察した襲撃者は、苦しそうな声ながらも、慌ててそう言葉を発した。

「はは……反応が遅いですよ」

 しかし、ヒヅキは平坦な声音でそう返すと、地を蹴り襲撃者の背後に回り込み、そのまま光の剣を突き刺した。

「がはッ!!」

「機会は一瞬ですよ」

 襲撃者の腹部に背中から光の剣を突き刺しながら、ヒヅキは襲撃者のフードを取る。

「おや、獣人の方でしたか」

 フードの中からは、頭に三角形の耳を付けた獣人の女性の顔が出てくる。

「な、んで……?」

「ん?」

「はな、し……」

「ああ。ですから、反応が鈍いんですよ。私は貴方に興味はないのでね」

 ヒヅキは突き刺した光の剣を横に薙いで襲撃者の身体から抜く。

「がぁッ」

 それでヒヅキの足元に倒れる襲撃者。それを無感情に見下ろしながらヒヅキは言葉を続ける。

「この場においての絶対者は私です。その私からの問いに答えなかった。自ら価値を放棄したのならば、こうなるのも致し方ないではないですか」

 それに襲撃者は何かを言いたげに口をパクパクと動かすも、それは全く言葉にならない。

「さようなら。名無しさん」

 ヒヅキはそれを気にする事もなく襲撃者の首に光の剣を当てると、そう一言添えてそれを横に動かした。

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