遺跡調査13
上半身だけになっても動き地を這う白骨の騎士や、足だけで動く白骨の騎士。そんなのが10体ほど周囲に蠢く。
(そろそろ鬱陶しいな)
ヒヅキはそれらを引きつけてから、跳び越えるために大きく跳躍すると、光の剣を小さな光球へと変化させる。
次に砲身となる光の輪をひとつ出現させると、不完全な白骨の騎士達が集まっている場所へと光球を放り投げた。
僅かな間、広間の闇を一気に掃うと、ヒヅキは再度光の剣を現出させる。
(これで白骨の騎士は残り2体まで一気に減らせたな。狼も後2体か)
それを確認して一気に距離を詰めると、まずは弱点の分かっている狼を殲滅する。
次に白骨の騎士へと幾度も斬りかかりバラバラにして強引に弱点部分を特定すると、そのまま2体とも沈黙させた。
「残るは君達だけれども……」
奥の通路を護るように立ち並ぶ2体の大きな像に目を向けると、ヒヅキは後ろに退いて距離を取る。
「ごめんね、戦うのが面倒だ」
顔だけを動かしてヒヅキの動きを捉えている、その強そうな2体の像目掛けて、ヒヅキは小さな光球に変化させたそれを砲身を通して射出させた。
射出された光球は綺麗な放物線を描き2体の像の真ん中に着弾すると、弾けて広間を眩く照らす。
それが収まると、着弾点の両側に立っていた2体の像は消滅していた。
「……なんか申し訳ないが戦闘中だ、受け容れてくれ」
ヒヅキは光球を現出させると、出来るだけ壁や床に被害が及ばないように配慮したとはいえ、全くの無傷とまではいかないそこを通り、奥の通路に進む。
(さて、あの忠告の危険が今のだったらいいんだけれども)
先程の広間までとは異なり、比較的綺麗な周囲の様子に目を向けながら、ヒヅキはそんな事を考える。危険の正体があれであれば、安堵できるのだがと思いながら。
(しかし、誰か来た痕跡はあるが、先程までとは違い本当に綺麗な通路だな)
そのまましばらく進み、横道を見つけたヒヅキは、そこを覗き込む。その横道の先には小さな部屋があった。
(ふむ?)
光球で照らしながら慎重にその部屋を調べてみると、そこには何かが保管されていたような棚や箱が幾つかあった。しかし今はそれ以外には何も無い。
(ここに黒き太陽などの遺物が保管されていたのか?)
そう予想しながら部屋中を隈なく調べてみるも、気になる様なモノは流石に何も残されてはいなかった。
それを残念に思いつつも、ヒヅキは部屋を後にして、通路の先を目指す。
警戒を怠らずにヒヅキがしばらく進んでいると、通路の様子が綺麗なモノから、前の通路と同じ破壊痕と血痕に彩られたモノへと徐々に変化していった。