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遺跡調査12

(今までも十分危険ではあったが、まぁ先人の警告だ、今以上に用心はしておくか)

 ヒヅキは先に続く闇と壁の文字を交互に見詰め、そう心に留め置く。

 現在のヒヅキはとても強い。光魔法のおかげで、世界的にも上から数えた方が早い程の実力者にまで成長しているが、それでもただの人間でしかない。殺すだけならばいくらでも方法があった。

 例えば、毒殺。

 ヒヅキは常に身体強化している事もあるが、素の能力が元々高い影響で、身体能力がとても高い超人である。それ故に、正面から戦った場合はほぼ負けないのだが、しかし体内の方は多少丈夫なだけで、常人とそこまで大きな違いはなかった。そのため、この先に待つ脅威がそういう物理的なものでない場合は少々きつかった。

 ヒヅキは警戒しながらも、光球の明かりで闇を掃いつつ進む。

「ん?」

 その先で急に広くなった場所に出る。それとともに、吐き気を催すような腐臭が鼻を衝く。

「……これはまた、熱烈な歓迎だことで」

 そこで待ち受けていたものは、狼を模したと思われる動く像が10体に、鎧を身に纏った白骨の騎士が20体、それに奥の通路への道を阻むように立つ巨大な人の像が2体であった。

 狼と白骨の騎士の中には足や腕が欠損しているのも混ざっている。

「……これまた派手に殺戮したもので」

 その広間には大量の血痕などの戦闘跡の他にも、沈黙した像や沢山の白骨が転がっていた。その白骨の多くが鎧や丈夫そうな服を纏ったままだが、どれも破損が目立つ。その中にはまだ肉が付いているものも目についた。

「この悪臭の原因はあれか……」

 おそらく最近侵入したと思われる者達だろう。ここで息絶えているという事は、入り口の血はまた別の者か。

「早速歓迎の抱擁かい? お断りだがね!」

 広間に足を踏み入れた瞬間、ヒヅキへと勢いよく殺到してくる狼と白骨の騎士達。

 まずは狼が3体ヒヅキ目掛けて跳び掛かってくる。それをヒヅキは前に出て回避する。

 身を低くして狼の下をくぐる途中、光球を変化させた光の剣で一匹を縦半分に切り分けた。

(……動かない。つまりは斬った何処かに仕掛けがあるという事か)

 一瞥だけして確認すると、眼前に迫る7体の狼の中に突っ込む。そして、近くの狼1体を縦に分けると、跳びかかってきた狼の首を斬り落とす。

(首は外れっと)

 首を無くしてもなお動く狼に、ヒヅキは感情の窺えない瞳を向ける。

 そこで狼と合流を果たした白骨の騎士が、ヒヅキに斬りかかってきた。

 それを半身をずらして避けると、白骨の騎士の首を斬り落とす。

(今回は胴体の方か)

 それでも剣を手に斬りかかってくる白骨の騎士。それを難なく避けながら、ヒヅキは白骨の騎士を胴から2つに分ける。

(胴体で正解か)

 手だけで這うように動く白骨の騎士に、ヒヅキはそう結論付ける。それとともに、斬りかかってきた他の白骨の騎士の剣を次々回避していく。その合間に足下から狼が噛みつくために駆けてきた。

 ヒヅキは奥の通路へと少しずつ近づきながら、白骨の騎士と狼の攻撃を掻い潜りつつ切り刻んでいく。

(狼の魔法文字の位置は把握した。白骨の騎士は個体で場所が違うのか、面倒なものだ)

 狼は残り4体にまで減ったところで、魔法文字の位置を特定する。白骨の騎士は残り15体まで減らしたが、魔法の位置が個体によって異なるようで、切り刻んだほとんどが欠損した状態ながらも動いていた。

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