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遺跡調査4

 床を叩いて下にある空洞の大きさを把握していたヒヅキは、その推測に沿って床を切り開く。

 切った床板を外すと、その下から床下収納のような空間が現れる。しかしその空間はとても狭く、書籍を数冊入れれば何も入らなくなりそうな大きさであった。

 もしもこの収納上部の床が取り外しできるようになっているのであれば、お金とか秘伝の何かでも入っていそうではあるが、実際は床板が打ち付けられて空間自体が封じられていた。

 その封じられていた収納の中を覗くと、箱が一つ入っている。それは細長い箱で、ヒヅキが閉じていた箱のふたを開けると、中身は空であった。しかし、中には巻物らしき物を固定する為であろう敷物が、その保管していた物の形状を残した状態で入っていた。

(……これは当然ながら、これを直した者が中身を持って行ったんだろうな)

 他には何かないかと調べてみるも、その収納場所には何も見当たらない。箱も隈なく調べてみるも、ちょっと良い材料を使っただけのただの箱でしかなかった。

「…………」

 ヒヅキは周囲に目を向けるも、他には目につく場所はない。他の部屋には何かないかと、ヒヅキはボロボロの別の部屋を歩き回る。

「ここにはもう何も無いか」

 歩き回り何も無いことを確認すると、ヒヅキはその家を出て道に戻る。

 それからも廃村中を調べながら歩き回ると、村の端の方に、膝丈程の小さな石碑のようなモノを見つけた。

 ヒヅキはその石碑の前に屈んで、刻まれている文字を読む。

「…………社?」

 風化して文字のほとんどが潰れているが、何とか解読出来た言葉を拾う。それからも細部にまで気を付けて調べ、ヒヅキは解った言葉を繋げて推測する。

(近くの山に何かを祀っているということか……行ってみるか)

 立ち上がり、ぐるりと周囲の景色を確かめて山を探す。

(あそこか?)

 そこで廃村から少し離れた場所に小高い山を見つけたヒヅキは、その山に見当を付けると、廃村を出てその山を目指して歩みを進めた。

 廃村からその山までは、徒歩数時間といった距離であった。

 ヒヅキは緩やかな曲線を描くその山中を通っている、半ば獣道と化している山道を進む。

「…………」

 山を登りながら、ヒヅキは足元に目を向け、眉を寄せる。

 そこには草や葉、木の枝などが落ちているのだが、僅かに誰か、もしくは何かが歩いたような痕跡を発見したから。

(……巻物を持っていった人物か?)

 しかし、それからは最近のものである事しか分からない。はっきりとは分からない為に、山に住む動物のものである可能性もあった。

(とにかく、おそらくこの先に在ると思われる社に行ってみれば何か分かるか)

 ヒヅキは足跡が続く方へと顔を向けると、僅かに考え、山道を登る足に力を込めた。

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