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遺跡調査3

 かつては村長の家だったと思しき屋敷内に足を踏み入れたヒヅキは、まずは首を回して屋敷内に目を巡らせる。そこは落ちた屋根の瓦礫によって、床がほとんど見えない状態になっていたものの、数少ない家具類は比較的原形を留めている物が多いように思えた。

 ヒヅキは転ばない様に慎重にその屋敷内を歩く。

 注意して歩かなければ、所々腐っていたり、床が落ちて穴が開いている部分があった。

 そうして慎重に進むと、ヒヅキは見渡した際に目についた、とある部屋に入っていく。 そこは屋根こそ落ちて無くなっているものの、何故だか家具類や床がほとんど無事なのだ。部屋の周囲にはある瓦礫も、部屋の中にはほとんど見当たらない。

「……ふむ?」

 ヒヅキはその部屋に置いてある家具と床を繁々と見詰めて観察する。

(……最近ここを誰かが訪れたな。それもおそらく復元魔法持ちが)

 床などに積もった埃や砂の様子に、不自然なまでに綺麗な家具や床の状態、そこに残っていた引きずった跡や微かに残っている手形にも見える跡などといった、誰かが手を加えた痕跡からそう結論付ける。

(しかし何のために?)

 地図に無い村ではあるが、その周囲には辛うじて判る程度の畑の跡しかなく、人の住んでいる場所や遺跡などの過去の遺物は存在しない。在るのは緑ばかりだ。

 そんな場所に、およそわざわざ希少な魔法である復元を使用してまで探すようなモノがあるとは思えなかった。

(そもそも、ここで何を探していた?)

 ヒヅキが居る部屋だけ復元したという事は、その部屋に何かある、もしくはあったという可能性が高かいということだろう。そして、それを事前に知っていた可能性も高い。

「…………」

 ヒヅキはまず、出来るだけ物に触れないようにしながら、その部屋を隅々まで調べる。それが終わると、誰かが残していった痕跡を頼りに家具を動かしてみたり、家具自身を調べてみたりする。

(床……?)

 特に何も無く、また何事も起きなかった為に、ヒヅキはわざわざ綺麗に戻してある床を調べてみることにした。

(……ん?)

 細部まで観察しながら、床を軽く叩いて調べていると、ヒヅキの耳が他よりも僅かに軽い音を聞き取る。

 ヒヅキはその音を頼りに床を調べると、床の狭い範囲が空洞になっている事に気がつく。

(どうやって中が見れるんだ? これ)

 しかしいくら調べてみても、その床の部分に、把手や窪みのような床をどける為の部分が存在しない。

「…………」

 しばらく調べていたヒヅキではあったが、諦めて床を壊す事にする。

(どうせ廃屋だしな)

 そう結論づけると、ヒヅキは中に何かあった場合にそれを傷つけない様に、10センチほどの小さな光の剣を現出させる。そして、ヒヅキはその刀身の短い光の剣を使って、慎重に床を切り開いていく。

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