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遺跡調査2

 ヒヅキがガーデンを発ってから五日程が経過していた。

 他の町や村の様子を確認する為に時折寄り道をしながらも、ガーデンからやや北西寄りに進路を取っていた。

「……こんな村、地図には無かったはずだが」

 そこは人が居なくなって久しく経つだろう荒廃具合の廃村であった。しかし、ヒヅキがガーデンで調べた周辺の地図には、この場所に村など存在していなかった。

「ふむ」

 それが気になったヒヅキは、廃村の中に足を踏み入れる。廃村周辺には特に何も無い。ヒヅキの知る遺跡は勿論の事、町や村などの人が住んでいる場所も、ここからは少し遠い。

 ヒヅキは朽ちた家々を見て回る。村の外に在った畑らしき場所は草だらけで面影がほとんど無い。辛うじて昔に人の手が加えられたのが分かるも、それも大分自然に戻っていた。

 村の中の家はほとんどが崩れていたが、中には半壊ほどでなんとか原形を留めている家も目に入る。

 しかし、そんな家も中は似たような状態で、とても人が住める状態ではなかった。

「…………」

 ヒヅキはゆっくり歩きながらも、そんな家々の内側へと外から目を向ける。

「ん?」

 それは一軒の家の中にあった。

「何だ、あれは」

 朽ちた箪笥の引き出しの中、隙間から見えたそこに、何やら丸められて紐で留められた紙のようなモノが三つ並べられていた、

 ヒヅキは足元に注意しながら家の中に入ると、朽ちているせいで引き出しを軽く引いただけで簡単に壊れた、その箪笥の中の巻物に手を触れる。

「……ふぅ」

 しかしその巻物も、辛うじて原形を留めていただけの様で、ヒヅキが僅かに触れただけで、そこが塵と化して崩れてしまった。

「中の文字も判別不能だな」

 表面を優しく撫でるように触れて崩した場所から見えた中身は、ほとんど消えて掠れた線がところどころ確認出来るだけで、とても中身を読むなど不可能な代物であった。

「こういうのに回復魔法が効けばいいんだが」

 回復魔法は生ある者にしか効果がない。こういう場合には復元魔法と呼ばれる別の魔法が存在しているが、それはかなり希少な魔法で、ヒヅキが生まれたぐらいの頃に唯一保持していると知れ渡っていた冒険者が亡くなって以降、現在は表向き誰も保持していないとされている。

 ヒヅキは他の二つも調べて同じ状態であるのを確かめると、諦めて他の家の確認を再開する。

「大きい家だ」

 それは完全に屋根が落ちはいるが、朽ちた太い柱がまだ立っている家だった。その柱の太さや高さから推定できる家の大きさは――シロッカス邸などに比べれば小さなものだが――、ヒヅキが住んでいた田舎の家に比べて二回り以上立派な家だと推察できた。

「村長の家だったのか?」

 人の作る共同体において、住んでいる家の大きさは権力の大きさに直結する場合が多々見受けられる。確実ではないものの、指標にはなるだろう。特に、村など小さな共同体や辺鄙な地では、それが顕著な気がする。

 その法則に(したが)い、村長の家ではないかと予測を立てたヒヅキは、調査の為にその家の中へと足を踏み入れた。

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