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祭り13

 呼ぶ声にヒヅキが振り返ると、そこには先程助けた赤・青・黄色の髪の三人の女性が立っていた。

「先程は助けていただき有難うございました」

 赤髪の女性の言葉と共に、三人が深く頭を下げる。

「あまりにもしつこく、そのうえ強硬手段にでられて困っていたところでした。本当に助けていただき有難うございました」

「いえ、たまたま近くを通りかかっただけです。ですが、助けられたのでしたらよかったです」

「それにしても、お強いのですね!」

 青髪の女性が驚いたようにヒヅキに声を掛けた。

「そうですか?」

「はい。避難しながらも拝見させて頂きましたが、あんなに強い方ははじめて目にしました」

 その時の事を思い出したのか、どこかうっとりとしたような喋り方をみせる。

「旅をしていると色々な経験をするもので」

 男達との戦闘時には、間違って殺してしまわないように身体強化はほとんど使っていなかったとはいえ、ヒヅキはそう言ってお茶を濁した。

「あ、あの! お礼もしたいので、少しこの辺りを一緒に見て回りませんか!?」

 黄髪の女性が早口気味にそう口にした。

「せっかくのお祭りです、お礼など必要ありませんので、皆さんはお祭りを楽しんでください」

「そう言わずに、食事ぐらい奢らせてくださいよ」

 ヒヅキの腕に抱き着き、そう親しげな口調で笑いかける赤髪の女性。

「この近くに美味しい食事を出す店が在るんですよ」

 時刻は昼を少しだけ過ぎたぐらいの時間。食事をするには悪くない時間でもあった。

「では、向かいましょうか」

 反対の腕を青髪の女性に掴まれ、ヒヅキは二人に腕を引かれるようにして移動する。その後に黄髪の女性が付いてくる。

 そのまま四人は移動し、祭りの露店ではなく、祭りが催されている通りに建っている一軒の店の中に入っていく。

 その店は掃除が行き届いているらしく、とても綺麗な店であった。

「いらっしゃい……って、遅かったね」

 店に入ると、三人と同年代ぐらいの若い女性が迎えてくれる。店内には数名の客がいた。

「しつこい奴らに声かけられてね。この人が助けてくれなかったら私達は襲われていたかもしれない」

 その時の事を思い出したのか、端整な顔を歪め、小さく震える赤髪の女性。

「そうだったのか。親友を助けてくれてありがとうございます」

 店員の女性は、そう言ってヒヅキに深く頭を下げる。

「そういうことなら好きなだけ食べていってくれ、お金は要らないからさ! ああでも、三人の分は貰うからな」

 店員の女性はヒヅキに向けてにかりと男前に笑うと、三人の女性を指差しそう告げた。

 その申し出にヒヅキが何かを言う前に、女性は他の席に向かってしまう。

「もう、相変わらずしっかりしてるわね。さ、まずは席に座りましょう」

 ヒヅキが言葉に甘えてもいいものかと逡巡していると、三人に引っ張られてヒヅキは近くの席に誘導されてしまう。それで諦めると、ヒヅキは大人しく腰を下ろした。

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