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祭り

 シロッカスとアイリスとの会話を終えたヒヅキは、朝方近くではあったが部屋に戻りベッドで横になった。

 そうして少し睡眠を取った事で、ふらつく様な感覚は無くなっていた。それでも多少脚は重かったが、日常生活を送る分にはそれは何の支障もない程度。

 ベッドから降りて身体の調子を確かめたヒヅキは、朝の支度をさっさと済ませる。

 それが終わった頃に朝食の準備が出来たことが伝えられる。

 ヒヅキは食堂に移動して、シロッカスとアイリスに挨拶を交わして朝食を摂った。それらが終わると、ヒヅキは部屋に戻る。

「…………」

 ヒヅキは借りている部屋に取りつけられている窓を開けると、外の様子に目を向ける。

 目に入る光景は建物ばかりで人の姿は少ない。しかし、それは元からシロッカス邸が建っている場所が閑散とした場所だからであろう。

 耳を澄ましてみると、花の甘い香りを運んでくる風に乗って、離れた通りの音が小さく聞こえてくる。それは久しく聞いていなかった人々が行き交う特有の雑然とした音。しかし、まだ小さなモノだ。

(噂が広まったか。まぁあれだけ派手にやったからな)

 スキアの殲滅。それは人々に活気を持たせるには十分すぎる話題であった。今日中に王宮側から正式に公表されることだろう。

(やっとガーデンから離れられる。結構長居してしまったな)

 ヒヅキは最初にガーデンを訪れた時の事を思い出し、約一年もガーデンに居たのかと苦笑にも似た笑みを口元に浮かべる。

(後は数日様子を見て去るか。エイン殿下には……挨拶している暇は無いか)

 スキアがガーデンを囲んでいた時でさえ忙しかったのだ、暗殺未遂の後は多忙になり、スキアの殲滅が終わった今は更に仕事が増えて忙殺されているところか。常に傍に控えているプリスも同様であろう。

(しかし、これからどうなるのかね)

 ヒヅキは索敵範囲を限界まで広げてみたが、未だに新しいスキアの反応はなかった。それはいい事なのだが、それでもカーディニア王国内に侵入してきたスキアを殲滅し終えたとは到底思えない。

(スキアの狙いね。スキアは滅ぼされた世界に住んでいたモノ達、だったか。意識があるのか分からないし、どうやってスキアに変化したのかの経緯が分からないが、もしも俺自身が俺自身としてスキアになったとしたら、どうするだろうか)

 それは無意味な考えだった。しかし、無駄な努力ではなかった。

(意識の自由はあるのだろうか? 身体の自由は?)

 しかし、いくら考えても憶測の域は出ない。

(いくつもの仮定で考えるしかないか。あの声が答えてくれればいいのだが、借りがありすぎるからな)

 スキアについて最も知っていそうな相手は、あまり語りたがらないだけではなく、ヒヅキはその相手に多大な恩義があった。これからも力を借りる可能性がある以上、下手な手は打てなかった。

(しょうがない。ガーデンでのスキア騒動も済んだことだし、また調べ物を再開するとしようか)

 ヒヅキは今直ぐにでもため息つきそうな気持で、そう方針を決めるのだった。

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