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ガーデン防衛56

 ヒヅキがエインにスキア殲滅の計画を話してから二日が過ぎ、作戦決行の三日目の早朝。

 目を覚ましたヒヅキは、ベッドから起き上がり身体の調子を確かめる。

(問題はないかな)

 心身ともに万全であるのを確認したヒヅキは、朝の支度を行う為にベッドから降りて行動を開始する。

 ヒヅキが休んでいた二日の間に、ガーデンではちょっとした騒動があった。それは一部の民衆が集まり、王城前で王の姿を見せろと声を上げたのだ。

 しかし、まだ困窮しているほどではないからか、集まった住民と兵士の睨み合いが起こっだけで、暴力沙汰に発展するまでには至らなかった。

 他には特筆するような事態は起こらなかったが、それでもガーデンの空気がどこかぎすぎすしている事には変わりはない。

「おはようございます」

 朝の支度を済ませたヒヅキは、食堂でシロッカスとアイリスに挨拶をする。

「おはよう。よく眠れたかな?」

「おはようございます。ヒヅキさん」

 それに返ってきた二人の挨拶にそれぞれ応えると、ヒヅキはすっかり自分の席となった、メイドに引かれた椅子に腰掛ける。

「それで、今日が決行日だったか?」

「はい、明日か明後日にはスキアは居なくなっている事でしょう」

 シロッカスの問いに、ヒヅキは穏やかに頷いた。

「それにしても、君のその顔の傷はまだ慣れないな」

「ええ、未だに心配になってきてしまいますわ」

 ヒヅキの顔を見つめながら、シロッカスとアイリスはそう感想を漏らす。

 その視線の先、ヒヅキの顔には右頬に大きな傷が付いていた。

「これぐらいであれば記憶に残りますから」

 その傷に触れながらヒヅキは応える。

「本当に治るのかね?」

「はい。事前に試してみましたから」

 休んでいる二日の間に、ヒヅキはシロッカスに治癒魔法の話を済ませている。

 というのも、ヒヅキはこれから一度表舞台に立つために、念のために判りやすい特徴を自分で自分の顔に刻んでいた。その説明の途中で治癒魔法の話を済ませていた。

「ならばいいのだが」

 それでも心配そうなシロッカスとアイリスに、ヒヅキは安心させるような笑みを向ける。

 そこでヒヅキの分の食事が目の前に並べられ、ヒヅキは食事を並べてくれたメイドに礼を言う。

 食事の用意が出来た事を確認したシロッカスの合図で食前の祈りを捧げて、三人は朝食に手を付けた。





「無事でいてくださいましね」

 朝食を終えて少しの間雑談を交わしていると、アイリスが泣き出しそうな表情でヒヅキにそう告げた。

「勿論です。無事に全てを終わらせてきますよ」

 ヒヅキは安心させるような笑みをアイリスに向けると、淀むことなくそう告げる。

 それにアイリスは安堵したように肩の力を抜いて息を吐く。

「しかしこうなるとは、ヒヅキ君と出会った当初は考えもしなかったな」

 懐かしむ様なシロッカスの口調に、ヒヅキも「はい」 と同意の声を上げる。

 そもそも最初は、たまたま拾ったペンダントがアイリスが落とした大事なペンダントだっただけなのだから。

 それからアイリスに連れられ訪れたシロッカス邸でシロッカスと出会い、気に入られて仕事を振ってもらった。というだけの話だった。

 しかし、その仕事がなければエインとは会わなかったであろうし、ヒヅキがこの騒動にここまで関わる事もなかっただろうから、本当に縁とはつくづく奇妙なモノである。

「やはりアイリスの人を見る目は確かだったな!」

 そう言って豪快に笑ったシロッカスに、アイリスは何を思い出したのか突然顔を赤くすると、恥ずかしそうに顔を俯けたのだった。

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