表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
251/1509

ガーデン防衛54

 話を終えたヒヅキは、エインと実行日について話し合う。

 スキアの行動が完全には読めない以上、出来るだけ素早い作戦の実行が望ましかった。

 しかし、ヒヅキが魔力を完全に回復するのには、最低でも間に1日は置かなければならない。万全を期すならば2、3日は必要だろうか。

 そんなヒヅキと違い、エインの方はいつでも実行可能であった。

 元々スキアの出方が分からず臨戦態勢を維持しているのだ、南門の修復にはまだ時間を要するものの、作戦の実行には些かの問題でもなかった。というよりも、今回のエインの役目は旗であり、兵士の役目は目撃者であり証言者でしかない。

「では、作戦の実行は3日後か?」

 エインの確認に、ヒヅキは僅かに考え頷く。

「2日後でもいけるかもしれませんが、3日後が望ましいですね。スキアの方も先日の黒き太陽の件で数を一気に減らした傷痕が癒えていませんので、3日ならば何とかなるでしょう」

 ヒヅキはスキアの動向を探りながらそう推測する。実際、スキアの数は減ったままで補充が間に合っていない。

「では3日後、作戦実行場所は北門でいいのか?」

「はい。殿下は兵を率いて北門に。あとは私が勝手にスキアを殲滅しますので、その後は手筈通りに」

「……分かった。しかし、嫌な役目だな」

「名誉な事では?」

「普通ならな。だが、私には嫌がらせにしか思えんよ」

「それはそれは良くご理解しているようで」

「むぅ。いつか絶対一緒に居てやるからな!」

「ええ、楽しみにしています」

 不機嫌そうなエインは、その余裕そうなヒヅキの笑みに頬を膨らませる。

「ふん! 今に見てろよ!」

 そう言うと、エインは不貞腐れたように机に向き直り食事を再開する。

 それを微笑ましそうに眺めたあと、ヒヅキも食事を再開させた。

 程なくして食事を終えると、プリスが食器を片付け始める。

「では、私は一度部屋に戻ったら王宮に帰るが、君はこれからシロッカス殿のところか?」

「はい。このまま戻って作戦の為にも休むつもりです」

「そうか……頼んだぞ」

 エインは真面目な顔をすると、申し訳なさそうにそう口にした。

「お任せ下さい」

 それにヒヅキは、先程とは違った安心させるような余裕の笑みで返した。

 それを認めたエインは、謝るように任せるように頷くと、食堂を出ていく。

 ヒヅキもそれを見送ると、その後を追うように食堂を出る。

 食堂を出ると、片付けを終えたプリスが立っていた。

「御帰りですか?」

「はい。お世話になりました。食事美味しかったです」

 その問いにヒヅキが返事をすると、「御口に合ったようで何よりです」 と言ってプリスは一度深く頭を下げてから、どうぞと玄関まで案内してくれる。その道中、先を行くプリスは前を向いたままヒヅキに声を掛けた。

「色々御気遣いありがとうございました」

「何の事でしょうか?」

「エイン様の事で御座います」

「さぁ。私には覚えがありませんが」

「左様ですか。ありがとうございます」

 それだけ言葉を交わすと、二人は玄関に到着するまでの僅かな間、口を閉ざしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ