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ガーデン防衛51

「ン? んん」

 朝になり目を覚ましたエインは、いつもと違う感覚に疑問を覚え、動きの鈍い頭を動かして昨夜の事を思い出す。

「おはようエイン。昨日はよく眠れましたか?」

 その途中、頭上から降ってきたその声に、エインは勢いよく顔を上げた。

「お、おはよう。……どうやら君にはまた迷惑をかけてしまったようだな」

 昨夜の事を思い出したエインは、額を押さえながらヒヅキに謝罪する。

「この程度は迷惑ではないですよ。少なくとも、死にかけるような事ではないですし」

 迷惑という言葉に、先日のスキア襲撃の事が頭に浮かんだヒヅキは、どうという事はないと微笑みかける。

「……君にはいつも甘えてしまうな。だが、助かった。こんなに安心して眠れたのは久しぶりだ」

「それはよかったです」

 そこでエインはまだ自分がヒヅキの上で寝ている事を思い出し、頬を朱に染めながらベッドから降りた。

「さ、さぁ朝食にしようか。プリスが用意してくれてるだろうからな!」

 ヒヅキに背を向けたままそう言うと、足早に部屋を出ていこうとするエインのその背にヒヅキは声を掛けた。

「ああ、後で話したい事があるのですが」

「ん? それは朝食の時でもいいか? 朝食を終えたら私は王宮に戻らなければならないのだが」

「ええ、大丈夫です。ありがとうございます」

「構わないさ。本当なら君の方を優先したいのだから」

 どこか寂しそうな笑みを浮かべたエインは、そう言って部屋を出ていった。

「…………」

 エインが出ていった扉をそのまま見詰めながら、ヒヅキは自分がしようとしている事を少し考える。

 もしもエイン主導でスキアを倒した場合、エインはこれからも殺伐さを伴う栄光の険しい道を歩む事になる。勿論逃げる事も可能だろうが、どんな状況であれ、ただ逃げる事をエインは良しとはしないだろう。

 それを想い、先程までのエインの様子にいいものかと微かな迷いが生じる。その際、エインの傍にヒヅキは居られないのだから。

 しかしそれも一瞬の事で、直ぐにその迷いは霧散する。

「さて、行くか」

 ヒヅキも朝食を頂こうかと、部屋を出る。

「おはようございます。ヒヅキ様」

 部屋を出る為に扉を開けると、目の前にプリスが立っていた。

「おはようございます。プリスさん」

 扉を開ける前からその存在に気づいていたヒヅキは、驚くことなく挨拶を返す。

「朝食を御召しになられますか?」

「はい。お願いできますか」

「畏まりました。食堂へ御案内致します」

 プリスは拝承のお辞儀をすると、ヒヅキを先導して移動を開始した。

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