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ガーデン防衛44

 更に一日弱ほどジッと身を潜めて回復した後、脚の筋肉の修復を試みる。

 前回の骨の修復を参考に、多めに回復させた魔力と、長い休憩時間の間に脳内で何度も感覚を思い出しては効率化の方法を模索して新たな魔力運用法を導き出したりしたりと、準備をしっかりとしての修復……であったはずなのだが。

(骨と筋肉ではこうも感覚が異なるのか)

 最早別物と言えるぐらいに違う感覚に、ヒヅキは戸惑いと焦りを内に浮かべる。

(冷静に探り理解しろ自分!)

 手さぐりに近い状態ながらも、魔力運用に関しては手慣れたものであったヒヅキは、何とか魔力の浪費だけは免れる。

 縫物(ぬいもの)でも行うように一つ一つ丁寧に修復していく作業は、片足だけで実に半日にも及んだ。

(もう片方……)

 集中しているために疲労を感じていない今のうちにと、ヒヅキはもう片方の脚の修復に取り掛かる。

(ここはもっと丁寧に行った方がいい、こっちは損傷部分が他の場所より単純だから多少大雑把でも問題ない……)

 どんどん修復に慣れていくヒヅキは、急激な上達を果たしていく。

 ヒヅキは幼い頃から身体強化の魔力運用の効率化を模索していた為に、魔力に対する感覚が鋭敏になっていた。そのおかげで、本来魔力の消費量が激しく、かなり魔力調整が難しいはずの光の魔法でさえすんなりと使いこなせるほどに。

 結局、両脚の修復に掛かった期間も入れれば、スキアと戦った日から三日と少しが経っていた。

(さて、魔力も回復したし、怪我も治った。長いこと休めたから肉体疲労もほぼ無し。周囲の様子は……)

 身体の状態を確かめたヒヅキは、周囲の様子を探る。ついでにスキアの現状についても。

(相変わらず探ってる者が居るな。まぁいい、スキアの方は補充がまだ間に合っていないな、それだけでも意味があったか)

 あの日の戦闘前よりスキアの数が確実に減っている事にヒヅキは安堵する。これでスキアの数が減る前に戻るかそれ以上に増えていたら少々厄介な事になっていた。

(この数なら黒き太陽を用いれば、全力を出し切るまでもないか?)

 ヒヅキは脚の調子を確かめるようにゆっくりと立ち上がりながら、今後の方針を脳内で固めていく。

(……うん、スキア一掃に必要な材料は揃っている。一掃後の事はまぁいいとして、さて、いつ仕掛けようか)

 手を閉じたり開いたりして、腕を適当に動かすと、次にその場で足踏みをする。最後に身体を軽く捻って問題ない事を確かめると、ヒヅキは探っている者の間隙を縫う様に路地を出て、周囲を警戒しながらガーデンの道をシロッカス邸目指して歩み出す。

(……少し身体が鈍ってる気がするな)

 歩いた感じの違和感に、ヒヅキは表に出さずに顔を顰める。

(とはいえ、許容範囲なのが救いか)

 スキア掃討には支障がない程の衰えではあるが、近いうちに鍛え直さなければいけないなと、ヒヅキは内心で決めるのだった。

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