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ガーデン防衛43

 スキアとの戦闘から一日何もせずに休む事に専念したことで、ヒヅキの魔力はかなり回復していた。

 それでも、肉体の方は魔力のように簡単には戻らない。

(回復でも試してみるか)

 魔力が戻ったヒヅキは、新たに得た力を試してみる事にする。

 まずは既に傷が塞がっている腕の細かい傷痕に回復魔法を掛ける。すると、腕中にあった傷痕が跡形も無く消えていく。

「はぁー」

 それに思った以上の魔力を消耗してしまい、ヒヅキは疲労の濃い息を吐いた。

 次は魔力調整に気を配りながら反対側の腕の傷跡を消す。その次に足の傷跡も治癒させた。

(俺の回復魔法は内側の損傷にも効果があるのかどうか……)

 ヒヅキは筋肉と骨が損傷している自分の脚へと回復魔法を掛けてみる。

「むぅ」

 回復魔法に反応して損傷部分は回復していくものの、表面の傷の時とは比べるべくもなく消費魔力が凄まじく多い。

 結局、脚の骨だけをある程度直したところで魔力が尽きてしまう。

(骨だけで立てないものか)

 そうは思うも、これ以上悪化するのを避けたいヒヅキは、大人しく物陰で休息する事にした。

(かなり無理をしたとはいえ、一度の戦闘で回復するまで時間が掛かりすぎだ)

 ほとんど無防備な状態が続くことに、ヒヅキは僅かな焦りを覚える。普通の人間ぐらいであれば寝ていても倒せるが、冒険者やスキアともなれば話は変わってくる。少なくとも、立てない状態では万に一つも勝ち目がないだろう。

(回復魔法もまだ慣れないしな)

 まだ魔力を効率的に運用できていない為に、少し魔力が回復した程度では満足に傷を癒せず、未だに動けないでいる。そのため、早めに自分の身体ぐらいは直ぐに治せるようにはなっておきたかった。

(それにしても、昨日から近くを通るのは何者だろう? 冒険者ではないが、何かの訓練を積んだ人間のようだけれど)

 昨日から通りを何かを探すように動く不審な存在にいち早く気づいたヒヅキは、警戒してただでさえ目立たない路地の、更に物陰へと移動して身を隠していた。

(可能性としては殿下の手の者だが、先日は目立ち過ぎたからな……)

 そもそもヒヅキは、先日黒き太陽を使用したのが誰かを知らない。他に首謀者が居る可能性が極めて高いとはいえ、エインが本当に手持ちの黒き太陽を全てヒヅキに渡したと言う保証はどこにもない。

 それ故に、少なくともヒヅキは立って動けるまでは誰にも見つからない様にしておこうと決めていた。

(この調子だと、動けるようになるのは明日以降かな)

 脚の損傷を治すのに必要な魔力と自分の身を護るのに必要な魔力が回復する時間を試算したヒヅキがそう結論付けると、その必要な時間の長さに、自然と少し重たい息が出たのだった。

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