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ガーデン防衛17

 何とか城壁を越えたヒヅキは、脚部を中心に身体を更に強化して、西側のスキアが集まっている場所まで一気に駆ける。

 冒険者ですら目で追うのも難しい程の速度で移動したヒヅキは、スキアから少し離れた場所で一度立ち止まって息を整える。

(少し増えたかな)

 眼前のスキアの数は、シロッカス邸で感知したスキアの数よりも多いように思えた。

(まぁやる事は変わらないんだけれど)

 息を整えたヒヅキは、魔砲を放つために、まずはスキアの群れの中央付近に狙いを定める。

(横長に爆裂を誘導したいから、形状は横に長く鋭く)

 狙いを定めたヒヅキは訓練の成果を試すように魔弾の形状を決めると、魔弾と砲身の魔力調整を行い素早く展開する。

「さぁ、始めようか!」

 ヒヅキが放った魔弾は緩やかな放物線を描き狙った場所に着弾すると、想定したように横に裂けるような爆裂を引き起こした。

 それで中央付近のスキアを一掃したヒヅキは、光の剣の発現準備をしてスキアとの距離を一気に詰める。

「はぁ!!」

 発現させた光の剣でヒヅキは眼前のスキアを何の抵抗も感じさせずに斬り捨てると、直ぐに次のスキアへと狙いを変える。

(やはり数は脅威だな)

 次々とスキアを斬り倒しながら、減ったように見えないスキアの群れに、ヒヅキは内心で舌打ちする。

(次の狙いは……)

 次の魔砲を放つために、狭い視界しか取れない中でも戦いながらヒヅキは狙いを決める。次の魔砲は小規模で複数放つつもりでいた。

(こういう時、スキアが(ひし)めいてるのは楽でいいな)

 脅威であるはずのスキアの群れではあるが、スキアしかいない為に何処に魔砲を放っても十分な成果が望めるという意味では、大量に押し寄せているスキアは有難かった。

 ヒヅキは自分に被害が及ばない様に威力や着弾位置などを計算すると、一度大きく後退して光の剣を魔弾に変える。大きさは直径五センチ程。形状は球状。数は三つ。

 これも魔弾と砲身の魔力を調整する事で、放てる数を増やす事に成功した訓練の成果であった。

 その魔弾を、向きを変えながら三地点に素早く放つと、すぐさま魔砲を光の剣に変えて襲い掛かってくるスキアを迎え撃つ。

(今のを使ったことで、魔力の残量が半分程まで減ったか……)

 ヒヅキは自分の体内の魔力残量を管理しつつ、そろそろ撤退する算段を頭に描く。殲滅できればよかったのだが、どうやら数が減った事で北側から新手が大量に流れてきているようであった、

(あの声の主がくれた予備魔力は本番まで残しておきたいが、そう上手く逃げきれるかね)

 直接ガーデンへと撤退してはスキア達を引き連れかねないと判断したヒヅキは、こういう状況の時は一度スキアの群れを強引に突破して後方に出た後、ガーデンとは反対方向に逃げてから、スキアの少ない南側へと大きく迂回してガーデンに撤退する予定だった。

 開幕の一撃と小出しした魔砲のおかげで、スキアの群れの厚みは最初よりはかなり薄れている。それでも、普通の冒険者程度では絶対に突破不可能な厚みと密度があった。

(さて、余裕がある内に始めるか)

 それでも微塵も(ひる)むことなくヒヅキは思いっきり脚に力を入れると、強行突破を計るためにスキアの群れ目掛けて突撃を開始した。

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