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ガーデン防衛4

 ヤック・タッタン将軍の独り言に、冒険者達は激怒した。

 殺さんばかりの勢いでヤック・タッタン将軍へ飛び掛かろうとする一部の冒険者達だったが、冒険者の中の冷静な者達がそんな彼らを止めた事で、ギリギリ血が流れる様な事態にはならなかった。しかし、これで冒険者がカーディニア王国側に手を貸すことは無くなった。

 その場で帰っていった冒険者達はそのまま荷を纏め、大半がソヴァルシオンへと一旦居を移す事を決めたらしく、翌日が終わる頃にはガーデンに滞在する冒険者はほぼ居なくなっていた。





「ヒヅッキーは行かないのか?」

「流石に冒険者の居ない状態でガーデン防衛など不可能だと思いますわよ?」

 ヤック・タッタン将軍と冒険者達との騒動があった翌日。シラユリとサファイアもガーデンを発つと聞いたヒヅキが二人を見送る為に南門まで向かうと、二人に一緒に来ないかと誘われた。

「まぁ、このままいけばガーデンは落ちるでしょう。ですが、今行っても意味がないんですよね」

「どういう事だー?」

「直にスキアが攻めて来るという事です。その際に逃がしたい相手や、逃がさないと都合が悪い相手が居るのですよ」

「そうなのかー?」

 よく分からないという風な顔をする二人に、ヒヅキは小さく笑いかける。

「とにかく。私はまだここを離れられませんので、お二方ともお元気で」

「……そうかー。ヒヅッキー、死ぬんじゃないよ?」

「勿論ですとも」

「ならいいがなー。ヒヅッキーは危なっかしいからなー」

「ですわね。正直、個人的にはヒヅキさんには力を貸したいのですが、こちらにも色々事情があるので、申し訳ないですわ」

 頭を下げてくるサファイアに、ヒヅキは首を横に振る。

「そのお気持ちだけで有難いです。それでは、また機会がありましたらお会いしましょう」

「ええ。必ず!!」

「じゃあなー。ヒヅッキー!!」

 そう言うと、無理に笑った様な笑顔を浮かべて、二人は手を振ってガーデンを離れていった。





(さて、逃げ道は南としても、どう逃がすか。あと、冒険者が居なくなったけれど、俺の処遇はどうなるのかね? 独りであれの下に就けとか?)

 冒険者が去った翌日。ヒヅキはそう考え、エインの出方を待つ事にした。

「冒険者の皆さんはガーデンを去ってしまわれたと聞きましたが、大丈夫なのでしょうか?」

 朝食を終え、ヒヅキがシロッカスとアイリスと話をしていると、アイリスが胸元で手を握って不安そうに口にする。

「そうだな、荷造りはしておいた方がいいだろうな。その際だが」

 シロッカスはヒヅキへと目を向ける。

「我らを守ってくれないだろうか?」

「私に出来る限りではありますが」

「分かっている。だが、今はそれが何よりも心強い」

 そう言ったシロッカスは、安堵に少し表情を緩める。

「そういう事だ、アイリスは安心していなさい。シンビ」

「はい。旦那様」

「アイリスの荷造りの手伝いを頼む」

「畏まりました」

 シロッカスの言葉にシンビは恭しく頭を下げた。



 その日の昼前。ヒヅキの元にエインの使者が訪れた。

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