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嵐の前の20

 ヒヅキは空き地の奥へと移動すると、倉庫を背に立ち止まる。

「威力はかなり抑えないとな」

 前回魔砲を使用した際の予想以上に高い威力を思い出し、ヒヅキは極端に魔力を絞って生成した魔砲の弾を用意する。

「これぐらいならば大丈夫……だよな?」

 光っていなければ分からないのではないかというぐらいに小さな、その針の先端だけで開けた穴の様に小さな光の球を、空き地の中央付近を目指して射出させる事にする。

 眼前に六つの光り輝く環が集まってできた不可視の砲身が現れ、それを通すようにして魔弾を投げる。

 ヒヅキの手から放たれた魔弾は、不可視の砲身を通過して威力を増して射出される。

 狙い通りに空き地中央に着弾した極小の魔弾は、閃光だけを迸らせながら、無音のまま空き地に巨大な穴を穿つ。

「……これでギリギリか」

 見渡す限り広大な空き地中央に着弾した魔弾が作った大穴は、ヒヅキの数歩手前まで届き、シロッカス所有の広大な空き地にギリギリ収まる大きさだった。それが針の先程の極小の魔弾が引き起こしたのだから、ヒヅキは自分で放っておきながら冷や汗をかいていた。

「それにしても、これどうしよう……」

 開いた大穴は広さの割に深さはそこまで無いものの、それでも中央の深さはヒヅキの腰の下辺りまで開いている。

「埋めるにしても、どこから土を持ってくれば……」

 ヒヅキは頭痛を感じて頭を押さえる。

「帰ったらシロッカスさんに謝っておくか」

 考えた末に、ヒヅキが出した結論は諦める。だった。

「さて、もっと魔力を絞らないといけないけれど、これ以上は難しいな」

 先程の魔弾でも極端に絞って創った魔弾なだけに、極小を更に縮小するというのは中々に至難の業であった。

「それに、次は地面に着く前に破裂させないと更に穴が深くなってしまうな」

 ヒヅキはあの謎の声が言っていた『大軍向け』 という言葉の意味を実感しつつ、繊細な調整が困難な魔砲に悪戦苦闘しながらもしっかりと向き合う。

「これ以上小さく出来ないなら、発射する際の砲身を弱体化出来ないかな」

 魔弾だけではなく、ヒヅキ以外には不可視の砲身の方へと目を向ける。初めて魔砲を使用した際には色々考えていた為にヒヅキは気づかなかったが、その砲身は光の環を束ねた様な大きな筒で、その中に魔弾を通すのを非常に容易にしてくれる大きさがある。

 その砲身は魔弾が通過時に速度と威力を追加しているようで、その砲身が魔弾に付与する威力を調整できないかと意識を向ける。

 ヒヅキが魔砲の発動を意識するとその砲身は現れ、目標を定めるまで目の向きに合わせて移動する。その砲身を形成している魔力の量を減らすと、砲身を形成している光の環の数と光量が減る。

「これでいいのかな?」

 これで更に魔砲の弱体化が図れたと判断したヒヅキは、早速先程と同じ極小の魔弾を手のひらの上に発現させた。

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