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嵐の前の9

 朝食を済ませたヒヅキは、シロッカスに顔出しの為にギルドの集まっている区画へ行く事と、帰りが遅くなる事を伝えてシロッカス邸を後にした。

 とはいえ、外はまだ明るくなって少し経ったばかり。朝早い家はシロッカス邸の様に既に朝食まで終わっているだろうが、一般的な家は今頃朝食を摂っているだろう時間帯。ヒヅキは少しゆっくり行った方がいいなと判断して、気持ち遠回りするような道を選んでギルド区画を目指す。

 その途中、お土産でも買っていこうかとも思ったヒヅキであったが、大量に必要な気がして躊躇する。

「でも、買わない訳にはいかないよなー」

 ただ顔出しするだけではなく、ソレイユラルムのガーデンでの拠点の場所について訊くのだ、流石に手ぶらという訳にはいかないと、ヒヅキは困りながらも思い直す。

 手土産はシラユリが好きだと言っていた前回と同じ物以外にもいくつか店を回り、数種類の菓子類を持って行くことにした。ガーデンは店が多い為に手土産を買う店には困らなかった。

「多いかな?」

 少なくともシラユリとサファイア、カトーの三人のギルドに顔を出す予定なので、量もそれなりだ。もしかしたらソレイユラルムにも顔を出すので、それに加えて少し多めであった。

「……後で買い足せばよかったな」

 買った後になってそんな事に思い至り、ヒヅキは少々自分の迂闊さに苦笑する。

 そのまま前にシラユリに教えてもらった道順を辿って目的のシラユリのギルドに到着する。

 ヒヅキが中に入ると、前回同様に色素の薄い印象の女性が応対する。

 用件とシラユリの分の手土産を渡すと、受付の女性は会釈して奥へと下がる。それを見送ったヒヅキが視線を横にずらすと、妙齢の美しい女性と威厳のある壮年男性が椅子に腰かけこちらに目を向けていた。

 ヒヅキがそれに挨拶がてらしっかりと頭を下げると、二人は少し慌てたように頭を下げた。

 そのままヒヅキは二人から視線を外して受付の女性が消えていった奥へと向ける。そこをぼんやり眺めながら、ヒヅキは頭にひとつ事が思い浮かぶ。

(わざわざシラユリさんに尋ねなくても、シロッカスさんにサファイアさんとカトーさんの所属するギルドの場所訊けばよかったんじゃないかな)

 相変わらず迂闊だなとヒヅキは内心で自分に呆れつつも、シラユリが来るのを静かに待つ。

(でも、本当に居るのかな?)

 前回は受付の女性が呼びに行きながらもシラユリは不在であった。その事から、居るのかどうか少し疑わしく思いつつも、もしも居なかったら受付の女性にでもサファイアとカトーの所属しているギルドの場所を尋ねようと考える。しかし、ヒヅキは二人から所属ギルドについては訊いていなかった為に、名前だけで分かってもらえるかの不安があった。

 しばらくそうやって待っていると、奥から受付の女性が姿を現す。その後に続いてシラユリも姿を見せた事で、ヒヅキは小さく安堵の息を吐いた。

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