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嵐の前の7

 図書館を後にしたヒヅキは、暮色蒼然としているガーデンの街を歩く。

 頬に当たる風はまだ冷たいものの、少し前よりは幾分か和らいだような気がしていた。

 街行く人々は忙しなく動いているように見える。それが日暮れ時だからか、もしくはスキアが近づいている事を敏感に察知したからかは分からない。

(いや、少々考えすぎか)

 日暮れ時だからだろうとヒヅキは自分の考えを改めると、人の流れに乗ってシロッカス邸を目指す。

 シロッカス邸に着いたのは日が暮れた頃であった。ヒヅキはメイドに出迎えられ、そのまま自室へと戻る。

 自室に戻ると、ヒヅキはルリについて考える。

 ルリの所属するソレイユラルムはソヴァルシオンに本拠を置いてるが、ガーデンに拠点が無い訳ではないらしい。現在ルリ達はそのガーデンにあるソレイユラルムの拠点に滞在していると、ヒヅキは護衛中にサーラから聞いていた。

 ソレイユラルムだけではなく、他の街に拠点を置くギルドもガーデンには支部の様なモノを置いているらしい。もしくは提携しているギルドの拠点に世話になっているとか。そのどちらも無いギルドは、招致した手前、王家が宿舎を提供しているという話であった。

「それはいいんだが、そういえば肝心のソレイユラルムのガーデンでの拠点の場所を聞いていなかったな」

 どうしたものかと考えたヒヅキは、他のギルドに所属している人で知っている人物は居ないかと思い、一度シラユリの所に顔を出そうと決める。それに、依頼から戻ってきてから帰還の報告にもまだ行っていない。

「約束はしていないけれど、一応顔出しはしていた方がいいだろう」

 ヒヅキはそのついでにソレイユラルムのガーデンでの拠点の場所を訊く事にする。

「知ってればいいけれど。後、サファイアさんの所属しているギルドの所在も訊いておこう」

 ヒヅキはカトーについても一応訊いておいた方がいいだろうかと考える。護衛中、ヒヅキはカトーと言葉を交わす機会があまり無かったが、それでも送り出されたのだから顔ぐらい出していた方がいいだろうか、という理由から。

「調べ物している場合ではなかったか?」

 改めて考えて、やる事の多さにヒヅキは小さく息を吐く。

「明日はギルド巡りかな。殿下からの使者が来るのがもう少しかかればいいが」

 エインからは状況を把握したら使者を送るとしか聞かされていない為に、いつ来るかまでは分かっていない。

「……なんだか色々面倒になってきたな」

 ヒヅキは頭をかくと、どうにかなるかと思い直す。使者が来てもシロッカスかシンビが対応してくれる事だろうとも。

「日付まで指定されている訳ではないからな。居なかったからって文句を言われても困る」

 うむうむとヒヅキが頷くと、扉が叩かれる音が聞こえてくる。扉を開けると一人のメイドが立っており、食事の用意が出来た事を告げられる。

 メイドに先導されて食堂に移動すると、既にシロッカスとアイリスが席に着いて待っていた。

 そのまま雑談を交えながら豪勢な食事を堪能すると、ヒヅキはお風呂で身を清めて就寝した。

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