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仕事37

 スキアを一瞬で消し去った攻撃に、唖然とするエインと兵士一同。それは冒険者も同じ気持ちではあったが、スキアとの戦闘中であった為に呆けている暇はなかった。

 そんな中、スキアを吹き消した当人であるヒヅキは周囲の反応に気づかぬ様で、あれやこれやとぶつぶつ呟いている。

 そのどこか間の抜けた空白を埋めたのは、直ぐに我を取り戻したエインであった。

「ヒヅキ君!!」

 自分を呼ぶ声に、ヒヅキは顔をエインの方へと向ける。

「何でしょうか?」

 首を傾げるヒヅキに、エインは少々呆れつつ口を開く。

「無事なのか?」

「?」

 エインのその言葉に一瞬ヒヅキは不思議そうな顔をみせるも、直ぐに意味を解して頷き返す。

「はい。傷も回復しましたので問題ありません」

「傷が回復?」

 傷を治療している素振りも無かったというよりも、死んでいたかもしれない重症を何も無かったかのように平然としている事に、エインは不審げな声を出す。おそらく魔法であろうが、それが事実であればどれだけ有用な治癒魔法だろうか。

「……それはどうやったのだ? 生死に関わるほどの重症だったと思ったのだが」

「分かりません。気づけば治っていたので」

「それはどういう意味だ?」

 死を待つだけに思われた重傷者の傷が一瞬で癒える。そんな事がよく分からないで起こるなど、まるで神が起こした奇跡とでも言うのだろうか。

(この男は神に愛されているとでも言うのか?)

 エインはそんな疑問を心の内に浮かべるも、しかし、ヒヅキ自身嘘は言っていなかった。変な声が聞こえたかと思うと、傷も気力も何もかもが万全の状態に戻っていたのだから。原理は不明であるし、そもそも新たな力ですら何で使えるのかもヒヅキ自身すら解っていない。

 何も解らない以上、ヒヅキは話を切り上げ、スキアと戦っている冒険者の援護に回る。

 スキアの増援が一時的に途切れたとはいえ、周囲にはまだ相当数のスキアが居る。味方を巻き込む可能性が有る為に魔砲で吹き飛ばすわけにもいかず、ヒヅキは光の剣を手元に現出させて手近なスキアから倒していく。

 助けた冒険者から感謝されつつも、次のスキアへと斬りかかる。助けられた冒険者も、直ぐに次のスキアとの戦闘に入る。

 そんな戦闘が半日以上続き、かなりの数のスキアが減ったところで、やっとスキアが退いていく。

 戦闘が終わり、警戒しながらも休憩を取る。治療を受ける負傷者の数も結構な数であったが、スキアと戦っていた冒険者の数も撤退開始時の七割ほどまでに減っていた。兵士もそれなりに減ってはいたが、冒険者の活躍により大きく減るまでには至らなかった。

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