表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
156/1509

仕事27

 後をお付きの男性に任せ、エインは今尚戦闘中の冒険者たちの下へ戻っていった。

 残された男性の先導で反対側の壁の防衛へと、防壁上を走って移動する。

 ヒヅキが到着した時には反対側はギリギリの状況に見えた。

 何とかスキアの攻撃を防げてはいるものの、彼我の差により防戦一方の状態であったのだ。

「私は打って出た方がいいですか?」

「確認します。少々お待ちください」

 到着と同時に掛けられたヒヅキの問いに、男性はそう返すと、二人はこの方面の指揮官の下へと移動する。

 そこでヒヅキの紹介と互いの挨拶を手早く済ませると、先ほどのヒヅキの提案を指揮官へと述べた。

「なるほど、それが可能であるならば是非とも頼みたい」

 指揮官の承諾を得ると、ヒヅキは防壁上から外へと跳び降りた。

 移動と会話で多少は休憩が挟めた為に、ヒヅキは短時間ならスキアの大群を相手に出来るだけの体力が回復していた。

 ヒヅキがスキアとの戦闘に入ると、防壁上では指揮官が各員にヒヅキが味方である事と、可能な範囲で支援するように指示を出す。

 その間にヒヅキは防壁に近い二体のスキアを消し去り、次のスキアへと顔を向ける。

 周囲はスキアだらけの為に標的には事欠かないが、それにも限度というモノがある。ヒヅキは十二体目のスキアを消し去ったところで息が乱れ始める。

 防壁上からの支援攻撃もあるにはあるのだが、未だに視界を埋め尽くすスキアの群れ相手ではあまりに微力が過ぎた。

「はぁ、はぁ、はぁ」

 襲い掛かるスキアを倒し、息を乱しながらヒヅキは周囲に目を向ける。

 ヒヅキの活躍により僅かに防衛に余裕が生まれたものの、それは瞬きするより早く消え去りそうなモノであった。

 それでも劣勢からそこまで盛り返せた事には変わらない。

「そろそろ、一度戻るか」

 流石に疲労が溜まってきたヒヅキは、その成果でも十分だろうと考え、スキアを倒して出来た空白の一瞬を利用して、防壁上に登る。

「お疲れ様です」

 エインに案内を頼まれた男性は、防壁上に戻ったヒヅキに頭を下げた。

「少し休ませてください」

「勿論です。ヒヅキ様の獅子奮迅のご活躍により、多少の余裕が生まれましたので、この方面は何とかなりそうです」

 男性のその言葉にヒヅキは立ったまま休みながら、皆の様子を窺う。

 確かに少し皆の表情明るくなったような気がした。

 それはそれとして、ヒヅキは男性は今何を言ったか思い出す。

『この方面は何とかなりそうです』

 それを思い出したヒヅキは、その明らかに面倒事のにおいに、僅かに苦笑した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ