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仕事25

「さて、と」

 シロッカス達の背中が小さくなったのを確認したヒヅキは、戦闘中のケスエン砦へ向けて地を駆ける。

 直ぐに砦の近くまで到着すると、その勢いのままに手近なスキアを斬り倒した。

「凄いな……」

 周囲を見渡したヒヅキは、視界の大半を占めるスキアの数に、小さくそう感想を漏らす。

 しかし、そんな余裕もそれで終わりだった。

 ヒヅキの存在に気づいたスキアが次々と襲い掛かってきたのだ。

 それを迎え撃ちながら、ヒヅキは砦の方へと目を向ける。

 善戦はしているものの、やはり数の差というものは大きいようであった。

「まぁ、こっちもそれなりに消耗してるんだけど、さ!」

 スキアの攻撃を避け、光の剣で斬るを繰り返しながら、ケスエン砦へ向けて漸進する。

「やっぱり数が多いな」

 目の前のスキアを倒せば数が減るという訳ではないようで、減ればどこからか新手が補充され、進めば背後にも回られている。

 ヒヅキは四方からの攻撃に対処しつつも、ケスエン砦への歩みを止めない。

 しかし、次第にヒヅキの呼吸も乱れはじめる。

「直ぐそこなのに、遠いな」

 スキアの相手をしながらだと、普通に歩いて数分と掛からない距離を進むだけで、数十分から一時間近く掛かってしまう。

 そんな牛歩のごとき歩みの遅さながらも、着実にスキアの中を進むヒヅキ。砦の守備はまだなんとか持ちこたえているものの、そろそろ何処からか綻びがみえてきそうであった。

「このままだと、間に合わないか?」

 ヒヅキはそう判断して焦るも、だからといって速度も上げられない。

 もしヒヅキが進行速度を上げた場合、砦の守備が突破されてしまう前に間に合うかもしれないが、それをしたらヒヅキとてただでは済まないことだろう。

「はてさて、第三王女様はどうなされるおつもりやら」

 現状、このケスエン砦がスキアに落とされた場合、その後ろにあるのは大した防備施設のない小さな砦が二三あるだけであった。

「つまりは王都ガーデンまでほぼ素通り、と」

 そんな未来予想図に、ヒヅキは苦笑さえ浮かばない。

 そんな事になれば文字通りカーディニア王国は終わる事になるかもしれない。

 つまりはこの砦は何としても死守しなければならないという事であった。

「……しょうがないか」

 ヒヅキは多少の怪我は覚悟すると、地を思い切り蹴る。

 スキアの攻撃を交わしながらも、間を縫うように進む。

「クッ!」

 ヒヅキは動きを読んできたスキアの迎撃を何とか回避したものの、回避が足りずに、攻撃の余波に煽られ少し腕に怪我をする。

「今のは危なかった」

 ヒヅキは急いで体勢を立て直すと、砦への突貫を再開した。

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