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仕事24

 治療中のシラユリを中心に、ヒヅキ達護衛の四人にシロッカスと人足頭を加えた六人で今後の行動について話し合う。

「急いでガーデンに帰るべきなんだろうが……」

 シロッカスはそこで言い淀むと、砦の方へと目を向ける。

「ガーデンに戻ったところで、もう安全ではないのだろうな」

 スキアの襲撃を受けているケスエン砦は、事前に警戒していた為に混乱なく迎撃している。その戦闘音は、砦から離れているヒヅキ達の耳にも間近で起きているかのような音量で届く。

「では、助力致しますか?」

 カトーの問いに、シロッカスは難しい顔をして首を横に振る。

「君達ならまだしも、私や人足たちが近づいては邪魔にしかならない。かといって、こんな状況で護衛の君達と別行動をとるわけにもいかない」

 人足頭も護衛の四人も難しい顔をする。

「そこで、だ」

 重苦しい空気の中、シロッカスは言葉を続ける。

「ヒヅキ君。君にお願いがあるのだが」

「何でしょうか?」

 シロッカスに話を振られたヒヅキは、何事かと首をかしげた。

「ヒヅキ君には砦の援軍として赴いて欲しいんだが」

「解りました」

「い、いいのか?」

 何も訊かずに即答したヒヅキに、シロッカスは驚愕の表情を見せる。

「ええ、それが依頼主の意向ならばそういたしましょう」

「そ、そうか。……ならぱ、頼む!」

「確かに承りました」

 ヒヅキは了承の意を示すためにシロッカスに頭を下げる。

「……気をつけてね」

「はい」

 頭を上げたヒヅキへ、治療を受けている自分の片手へと目を向けて、不甲斐なさそうにシラユリはそう言葉を掛ける。

 ヒヅキはそれに任せろとばかりにしっかりと頷きを返した。

「いってらっしゃいまし」

「いってきます」

 次にサファイアも挨拶を交わす。

「武運を!」

「ありがとうございます」

 続いたカトーの言葉に、ヒヅキは軽く頭を下げる。

 護衛の三人も本音を言えば助けにいきたいのだが、少し前にヒヅキと自分達の実力の差をみせつけられ、己がただの足手まといにしかならないことを悟っていた。それに、人足たちの護衛も大事な仕事であった。

 ヒヅキは護衛の三人と挨拶を交わし終えると、最後にシロッカスの方を向く。

「それでは行ってきますね」

「ああ、無理を言ってすまないね」

「いえ。ガーデンまでお気をつけて」

「ああ。ヒヅキ君も気をつけて」

 シロッカスは申し訳なさそうな顔で頭を下げると、護衛と人足頭を伴い人足たちへ説明する為にそちらの方へと移動する。

「それでは、お気をつけください」

 別れ際に人足頭がそう頭を下げた。

 護衛の三人もそれぞれ気をつけてと言葉を残し、シロッカスの後を追う。

 しばらくして、シロッカス達はヒヅキを置いてガーデンへと出発した。

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