仕事22
巨人のスキアを倒したヒヅキは、視線をシラユリの方へと向ける。
そこには人型のスキア二体を相手取るシラユリの姿があった。しかし、その様子は芳しくなく、シラユリは片腕を折っていた。
ヒヅキはシラユリが相手をしている二体のスキアの内の一体へと斬りかかる。
背を見せていたスキアは、それで簡単に斬り倒せた。
「ヒヅッキー」
そこへ弱々しいシラユリの声が掛けられる。
「直ぐにもう一体も倒しますから!」
シラユリから突然現れたヒヅキへとターゲットを変えたスキアは、そのままヒヅキ目掛けて襲い掛かる。
それは人間を二三回り大きくしたようなスキアだった。
身軽だから素早さはあったが、獣型に比べればあまりに遅い。
力も獣型より劣る。威力でいえば、先ほどの巨人のスキアの方が破壊力はあった。
色々と半端な性能ではあったが、これを複数体同時に相手にすると考えると面倒そうであった。
しかし、一体は既に倒しているので、残るは一体。それはヒヅキにとって敵ではなかった。
ヒヅキはあっさりとそのスキアを倒すと、シラユリに駆け寄り、傷の度合いを確認する。
左腕は完全に潰れていた。
攻撃を受け止めたのか掠ったのかまでは判らないが、骨は砕け、筋肉も損傷していた。このまま放置していたら左腕は使えなくなることだろう。
「私は治癒魔法は使えないので、シラユリさんは一度下がってカトーさんに治癒魔法を掛けてもらってください。私は最後の一体と戦っているサファイアさんの援護に向かいますので」
その言葉にシラユリが頷くと、ヒヅキはシラユリに背を向けてサファイアの方に顔を向ける。
視線の先ではサファイアが植物型のスキアと戦っている最中であった。
そこへ駆けると、そこには壺をひっくり返して壺の口から根が外に生えたような形のスキアがいた。壺の底に当たる部分からは木ようなものが伸びている。
スキアは根を伸ばして攻撃しつつ、隙あらば跳ねて木の部分を向けて突撃してくる。その突撃は射程こそ短いものの、速度は獣型のスキアの脚に匹敵した。
サファイアは根の攻撃や突撃を回避するので精一杯のようで、たまに回避しつつ根を斬りつけてはいたが、いくら斬っても次から次へと新しい根が壺から生えてきていた。
「何て面倒なスキアですの!」
時間が経つごとに伸びてくる根の本数は増えていき、突撃は速度だけではなく威力まであるようで、そろそろサファイアでは捌ききれなくなっていた。
ヒヅキはスキア目掛けて一直線に駆け寄るが、それを察したスキアは根を数本割いてヒヅキを迎撃する。
「遅い」
獣型のスキアの速度にさえ難なく対応出来るヒヅキには、その根の攻撃速度は欠伸が出そうなぐらいに遅かった。
ヒヅキは回避するでもなく、その攻撃を近づく速度でもって後方に置き去りにすると、後ろで根が地を叩く音がヒヅキの耳に届く。
それを耳にしながら、ヒヅキは間近に迫ったスキアの壺のような部分を光の剣で横断した。