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幕引きと幕開け16

(誰かを犠牲に世界を救う。まるで何処かの安い物語のようだ)

 さっさと神を復活させよう。そう思ったヒヅキは、そんな考えが浮かんで内心で苦笑する。

 別にヒヅキは世界を救う訳ではないが、それでもヒヅキの命を代価に神を蘇らせるというのだから、全く違うとも言い切れない。

 それはさておき、人造神にその旨を伝えようかとヒヅキが考えたところで、

『それでいいのかい?』

 そんな声が聞こえてきた。それが誰の声かなど聞くまでもない。それよりも、いつでも会話可能だったのか? という疑問の方がヒヅキは気になった。もっとも、どうでもいいかと直ぐに忘れたが。

(問題ない。今後どうするかは思い浮かばないから興味がない。そもそもこの身体はもう限界だろう?)

 問答も面倒だと言わんばかりのヒヅキに、声の主は苦笑する。別に止めようとした訳ではないが、それでもこうもにべもないと何も言い返せない。

『そうだね。君の器はもうボロボロだ。それでも、もう10年……弱ぐらいは何とかなると思うよ』

(そう。だが興味が無い。記憶もろくに残って無いのだから未練も無いし)

『そうかい。まぁ、君がそれを選んだのならこれ以上何も言わないが』

(そうしてくれ)

 話を終えると、ヒヅキは疲れたように小さく息を吐き出す。

 今から復活させようとしている当人に何か言われても、ヒヅキとしてはただ煩わしいだけ。

 そもそも今頃になって声を掛けられてもという思いの方が強いし、それで選択を変える気はないのだから大人しく復活させられていればいい。

(疲れたし、さっさと終わらせたい。ここで終わるのだから、今後とか気にしなくてもいいのは楽だが)

 そんな事を考えつつ、ヒヅキは改めて人造神に自身の選択を告げた。

 ヒヅキの選択を聞いた人造神は、黒髪の中からほっそりとした白い指を少しだけ出して、今代の神の方を指差す。

「そう。であれば、このままあの毒物の方へと近づくといい。その途中で君は命を失うだろうが、あの毒は速攻性があって強力だから苦しむ事はないだろう。そして君の命が消えた時、君の中に封じられていた力が解放される。これだけ近ければ、問題なく力はあれを取り込むだろう。それに、この声も聞こえているのだろうし」

 人造神は僅かに含むような言い方で最後にそう付け加える。後はこのままヒヅキが今代の神へと近づけば終わりという事だ。

(ああそうだ、一応フォルトゥナに教えておくか)

 面倒な事になりそうだとは思ったが、ヒヅキは思い出してしまったのでフォルトゥナに人造神の事と、今代の神への対処について話していく。

 最後まで大人しく話を聞いたフォルトゥナだったが、やはりというか猛然と反対してくる。

 フォルトゥナをなんとか説得しようと試みたヒヅキだったが、途中で無理だなと諦めた。

 結局、フォルトゥナも一緒に今代の神の許に向かう事になった。まるで心中だなとヒヅキは思ったが、もうどうでもよかったので、その辺りは気にしない事にする。

 とはいえ、今代の神に向かうのがヒヅキだけではなくなった以上、それで何が起きるか分からない。なので、それについてヒヅキは人造神に尋ねた。

「そうだね……そのお嬢さんは英雄のようだし問題はないんじゃない? 結局、神の復活と共に英雄の力は全て在るべき場所に戻る訳だから、単純にそのお嬢さんも君と一緒に死ぬだけで影響は何も無いよ」

「そうですか」

 人造神の答えを聞いている内にフォルトゥナが到着したので、ヒヅキは問題ないならそれでいいかと思い、フォルトゥナと共に今代の神の方へと向かっていった。

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