仕事21
群がってくるスキアを一体、また一体と光の剣で斬り倒していくヒヅキ。
四方八方から迫り来るスキアの鋭く早い攻撃を避けながらの戦闘はそれだけで疲弊するものだが、それに加えての常時光の剣を使用していなければ生き残れない状況は、ヒヅキの限界到達を早めてしまう。
それでもここで倒さねば、人足たちの被害は甚大だろう。助ける事が出来る範囲ではあるので、逃げるという選択肢はまだヒヅキの中には浮かんでいなかった。
その戦闘の最中、ヒヅキは目の端でシラユリとサファイアの姿を捉える。
どうやらヒヅキに群がらなかったスキアの相手をしているらしい。それにヒヅキは安心しつつ、戦闘に専念する。
ヒヅキが一体ずつ確実に減らしていき、残りが五体となったところで、シラユリとサファイアがヒヅキと合流する。
「お待たせー。ヒヅッキー」
「ほとんど一人で倒してしまうなんて、ヒヅキさんは呆れるほどに強いですわね」
そんな変わらない二人の言い様に、ヒヅキは小さく笑う。
「あと少しです。頑張りましょう」
そう声を掛けたところで、三人にスキアが襲い掛かってくる。
ヒヅキに襲い掛かってきた植物型のスキアは、鉢植えから触手のような蔦が何本も生えているような見た目だった。その蔦をしならせると、勢いよくヒヅキに向かって振り下ろす。
それをヒヅキはスキアへと近づきながら回避する。鞭というものは手元から遠くなるほどに速くなる。
その途中、ヒヅキは隙をみては、回避した振り下ろされた蔦を斬っていく。
そしてやっと近くまで寄ると、そのまま蔦が生えている鉢植えのような部分を横凪ぎに切り裂いた。
それで植物型のスキアは消え去ったのだが、息つく間もなく頭上から巨大な拳がヒヅキ目掛けて落ちてくる。
「ほっ!」
それに最初から気づいていたヒヅキは、先ほどの植物型のスキアへと近づいた勢いそのままに駆け抜ける事で、ヒヅキは間一髪その一撃を回避する。
そのまま見上げれば、目の前に巨人のようなスキアが立ちはだかる。
その巨人のスキアの足を、ヒヅキは手に持つ光の剣で斬りつける。
スキアは悲鳴を上げてヒヅキへ向けて膝を折る。
「うぉ!」
落ちてくる片膝を更に前進して回避すると、地が揺れる衝撃と音が響く。
ヒヅキは急いで振り返ると、膝を着いていない足の腱を斬りつける。
それで横に倒れようとするスキアは片手を地面に着いた。
ヒヅキがその腕に思い切り斬りつけると、バランスを崩したスキアは、横に倒れた。
眼前に晒されたがら空きのスキアの背中へヒヅキは光の剣を突き刺すと、そのまま背骨に沿うように光の剣と共に移動する。それで巨人のスキアも消えてなくなった。




