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幕引きと幕開け11

 ヒヅキの最大威力の攻撃となると魔導での魔砲であるが、しかし本当の意味での最大威力は出さない。もしそうなると、ヒヅキは命まで燃やす必要が在るのだから。

 ではどのぐらいがいいのかと考えるも、相手は死にかけでも神であるので、全力を出す必要はあるだろう。

(とりあえず、攻撃後に自力で立っていられる程度は余力を残しておきたいから……)

 そう考えながら、ヒヅキはまず砲身を現出させる。砲身は魔法で創った。

 砲身と砲弾を同時に魔導で構築するとなると難しく、出来なくはないが、現状ではそれをするとヒヅキの脳の容量がかなり圧迫されて、両立したとしても構築した魔砲はかなり威力が落ちてしまう。

 そこで解決策として、魔砲の要である砲弾は威力重視で魔導で構築し、砲弾を加速させて補佐する砲身は安定性を考えて魔法で行使する事にした。

 短期使用なので、安定よりも威力を重視して砲身も魔導で構築した方が出力が上がり魔砲の威力は上がるのだが、無理なものはしょうがない。現状では魔法との併用の方が最も威力が出るのだから。

 その代りという訳ではないが、魔法で構築した砲身は幾重もの環が連なるように重なり、輝きも直視出来ぬほどに眩しいほど。これであればかなり威力を増幅出来るだろう。

 向きの調整も済ませて砲身の用意が出来れば、全力で砲弾となる光球を魔導で構築していく。

(頭が痛い)

 魔導の全力での構築で酷い頭痛と共に思考が少し鈍ったような気がするが、ヒヅキは目の前の事に集中することで一旦それを忘れる。

 全力で構築した光球は、威力を重視した分、少々普段よりも衝撃に弱くなっていた。

 ヒヅキが準備している間に、人造神が今代の神から少し離れた場所で結界を何重にも構築していく。ヒヅキの正面だけは空いているが、直ぐにでも閉じられるようになっているようだ。

 それを確認したところで、ヒヅキは光球を砲身に向けて射出する。

 射出された光球は、砲身を通った瞬間に今代の神へと着弾していた。

 そんな一瞬の出来事であったが、流石は人造とはいえ神と言えばいいのか、光弾が破裂して周囲に拡がる前には結界を完全に閉じていた。大分ギリギリではあったが。

 結界の中で大爆発を起こした光球は、放心状態の今代の神を瞬時に呑み込み、人造神が張った結界をも破壊していく。

 それでも人造神が気合を入れて構築した結界だけに、魔砲とはいえそう簡単には破壊できない。

 とはいえ、それは一瞬で消えないというだけで、1秒ごとに1枚は破壊されている。見ている分には面白いように結界が消えていくのだが、そう楽しんでもいられない。

 人造神も外側にどんどん結界を追加していくが、魔砲の爆発は弱まる様子は無い。かといって、その爆発をヒヅキが消せる訳でもないのでどうしようもないのだが。

 ヒヅキは視線を動かして人造神の様子を窺うが、人造神は全身を黒髪で覆っているので、焦っているのかどうか何も分からない。

 今のところ結界の追加は間に合っているので、光が膨脹を続けているのが見えていても危なげはないが。

 そんな中、今代の神を囲んでいた女性達は少しずつ後退している。おかげで結界を張る場所も余裕が出来ていた。

 無論、ヒヅキや人造神も後退している。人造神は浮いているようで、滑るように後ろに下がっていく。

 中々勢いの衰えない爆発だが、人造神の結界構築も速度が変わらない。、

(魔導での魔砲を実際に使用したのは初めてだったが、ここまで威力があるのか)

 魔法のみで魔砲を行使した場合、同じぐらいに力を籠めていたとしても、もうすっかり勢いは無くなっているだろう。結界を破壊するだけでも結構勢いは鈍るものだ。

 だというのに、目の前の魔導で行使した魔砲は未だに勢いそのままに膨張を続けている。

 これが全て魔導でしっかりと賄えるようになれば、神の本気の攻撃と比べても遜色ないのかもしれない。もっとも、神の本気の攻撃を見た事がないので、ヒヅキでは比べようがないが。

 そんな事を考えつつヒヅキは後退していく。それからしばらくして、ようやく魔砲の爆発の勢いが止まったのだった。

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