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幕引きと幕開け9

 腕から胸元を通って反対の腕までを貫かれた今代の神は、その影響で動きを止める。やはりというべきか、それでも死んだ訳ではない。

 とはいえ、一瞬でも動きを止めたならば、その隙に今まで防いでいた攻撃が今代の神に直撃する。

 その結果は、何故今代の神が今までその攻撃を防いでいたのかが分かるものだった。一瞬で胴体は斜めに両断され、頭部や脚部がはじけ飛ぶ。

 フォルトゥナや英雄達の攻撃が今でも全く通っていないのを考えれば、女性とクロスの攻撃は非常に凶悪で有効的なのが分かる。

 光の剣が突き刺さるとほぼ同時に両断されて、頭と脚がはじけ飛んだ今代の神は、そのまま地面に崩れる。それを確認したヒヅキは、直ぐに白い球体を投げつけようかと思ったが、白い球体を空間収納から出す前に今代の神に動きがあった。

(再生いや、時を戻しているかのようだな)

 両断されて一部潰されたというのに、今代の神の身体が浮かび上がったかと思うと、直ぐに全てが元の状態に戻っていった。無論、はじけ飛んだはずの頭部と脚部も元のまま。

 しかし、それが単に時を戻しただけではないようで、明らかに今代の神の力が落ちていた。それでも強大なのだが、分かるぐらいには力が一気に落ちている。

 それと、身体は元に戻ったが、刺さったままの光の剣はそのままだった。

 今代の神は刺さったままの光の剣へと視線を向けると、余程鬱陶しいのか、強引に腕を拡げて光の剣を抜こうと試みる。それで腕や胸元が裂けり穴が開くが、今代の神は光の剣以外は気にした様子は無い。

 その最中にも女性とクロスの攻撃が直撃して、今代の神の身体はバラバラになっていく。二人は光の剣が刺さっている辺りだけは外しているようで、何度今代の神が再生しても光の剣は刺さったまま。

 その攻防を少しの間観察したヒヅキは、今代の神の大まかな動きが掴めたので、今代の神が再生した瞬間を狙って白い球体を投げてみることにした。

 白い球体を空間収納から出しただけでは今代の神に変化はない。丁度再生し始めたところだったので、ヒヅキは砲身まで使用して全力で今代の神に白い球体を投げつけた。

 まるで一筋の光のように一瞬で今代の神に直撃したその白い球体は、丁度再生を終える直前だった事もあり、そのまま今代の神の体内に取り込まれるような形になった。

「っ!!!」

 今代の神が再生を終えた瞬間、今代の神は今までと異なりガクガクと震えはじめる。その急激な変化に、女性とクロスも様子を見る為に攻撃を止めてしまう。

 その間も震えは大きくなり、それと同時に今代の神の口から苦しげな呻きが漏れだした。

 何事かとヒヅキも身構えるが、原因は考えるまでもなくヒヅキが投げつけた白い球体だろう。

 その反応は異物を取り込んだからなのか、それとも偶然重要な器官にでも中ったのか。

(まぁ異物というか、白い球体を取り込んだからなのだろうが)

 白い球体の使い方は今代の神が取り込む事だったのか、それとも中てる事だったのかはこの際どうでもいいのだが、次第に大きくなる今代の神の苦悶の声に、これからどうなるのかとヒヅキは全力で警戒する。

 今代の神が白い球体を取り込んでから少しして、次第に大きくなっていた苦悶の声だったが、今ではすっかりすすり泣くかのように弱弱しいものになっていた。

「あ、あ”ぁぁぁあ」

 天を仰ぎながらそう口からか細く漏らす今代の神は、先程までの強者故の傲慢で余裕な態度を知っているだけに、ヒヅキには酷く虚しく見えた。

 今では迷子で泣いている子どもよりも頼りなく感じる今代の神は、とうとう苦悶の声さえ発さずに、口を開けて天を仰いだまま立ち尽くす。

 それから程なくして、今代の神の口から小さくなった白い球体がひとりでに出てくると、それがゆっくりとヒヅキの方へと飛んできた。

 咄嗟にヒヅキは身構えながらも、それからどうするべきかと悩む。白い球体に関して言えば、何も情報が無いので、これからどう対応すればいいのか全く分からなかった。

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