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幕引きと幕開け3

 白い球体を今代の神に投げつけるといっても、ただ闇雲に投げればいいという訳ではないだろう。

(今代の神に白い球体を中てればいいのか、それとも今代の神の近くに投げればそれでいいのか)

 どうなのだろうとヒヅキは考えるも、どちらにしろ投げるならば中てた方がいいだろうと結論付ける事にする。

 ただそうなると、確実に今代の神に中るようにその瞬間を見極めなければならない。

(果たしてそんな事が出来るのやら)

 とりあえず最初は今代の神の動きを確かめるところからだなとヒヅキは思うも、果たしてどうなることやら。

 次第に大きくなっていく今代の神の気配に、いやでも決戦が近いのが分かってしまう。

 ヒヅキは今出来る準備が全て整っているのを確認したところで、小さく深呼吸をして気持ちを落ち着かせていく。強大な敵だからといって、変に緊張する必要はない。

 そうして気持ちを落ち着かせたところで、一帯が広大な平野となっている場所に出る。

 よく見れば色合い土っぽいだけで地面は平ら岩だが、その平野の奥の方に今代の神いの気配を感じる。奇襲が無意味である以上、そこは正面から挑むには都合のいい場所であった。

 それからしばらく平野を歩くと、遠くの方に人影を発見する。そこが今代の神の気配の発生源なので、その人影が今代の神という事なのだろう。

 程なくして、人影から少し離れたところで一行は足を止める。

「やあ、いらっしゃい。待っていたよ」

 普通に声を掛けても届かない距離だというのに、声を張り上げるでもない今代の神の声が聞こえてくる。

 それは穏やかそうな声音ではあるが、喜色が多分に含まれているのが聞いた者全てに理解出来た。

 つまり、今代の神は言葉通りに歓迎してくれているという事。もっとも、この歓迎は直接戦えるからだろう。ここまで辿り着けるような存在がそうそう居るとは思えないのだから。

 女性は今代の神の言葉を無視して、英雄達に指示を出していく。

 その指示で今代の神を囲むように一斉に動き出す英雄達。

「無視は寂しいな」

 その様子を何もせず眺めていた今代の神は、分かりやすく作った声音でそう口にする。

 その間に英雄達は配置についたようで、それを確認した女性は今代の神の方へと目を向ける。それと共に、今代の神の真横で爆発が起こった。

 爆発を開戦の合図に、今代の神を囲んた英雄達が攻撃を開始する。

 まずは魔導での遠距離攻撃。色とりどりな魔導の光が、今代の神が立っていた場所へと吸い込まれるように飛んでいく。

 その度に爆発したり紫電が走ったり火柱が上がったりと、小規模ながらも派手な結果を巻き起こす。

 どの攻撃からも、どんな相手でも消し飛びそうな威力を感じるヒヅキだが、しかし攻撃が向けられている今代の神から小さな笑い声が聞こえてくる。

「ふふふ。いい攻撃だね。折角だし、ひとつ試練でも与えてあげよう」

 その言葉の後に、一瞬強風が周囲へと吹き荒れる。それにより攻撃で上がっていた砂煙が晴れると、そこには今代の神とは別にもう一人存在していた。

「紹介しよう! といっても、これに名前はないけれど。ほら、ウィンディーネとか色々居たでしょう? あれを全部回収してまとめてみたのがこれ!! さ、まずは前哨戦としてこれを斃してみるといいよ。僕はここから観ているからさ、僕に挑む資格が在るというのならば、それぐらいしてもらわなくちゃね」

 くすくすと楽しげに笑う今代の神。その前方に佇む者は、女性っぽい形をした木であった。まるで等身大の木像のようなそれだが、木像から感じる気配は、今代の神には遠く及ばないにしても強大であるのが分かる。

 ヒヅキが今まで出会った敵の中でも、それは今代の神に次ぐ強者だと理解したところで、

「さ、始めちゃって」

 今代の神が木像へと攻撃の開始を命じた。

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