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幕引きと幕開け2

 全員が揃ったところで、女性を先頭に移動を始める。

 しばらく歩き山間を抜けると、そこはだだっ広い岩の地面が広がっていた。

 ゴツゴツとした地面と、何処までも続く殺風景な景色。遠くの方で山が並んでいるが、どれも色合いは同じで寂しげなものばかり。

 よく見れば遠目に地面が途切れているのが確認出来るので、ここはまだ周囲よりも高いのかもしれない。

 そんな殺風景な景色を気にすることなく、女性は先へと進んでいく。

 やや曲線を描くように進んでいる先には、左右に膝下ほどの大きさの岩が疎らに並んで出来ている道らしきものが確認出来るが、道は途中で大きな岩の後ろに回っているので何処に続いているのかは分からない。

 それからも黙々と進み、女性は迷いなくその道を進んでいく。岩の裏側に回ってみても、まだずっと道は続いていた。

 そうして道を進んでいると、ヒヅキにも目的地が分かってくる。

(これが今代の神か)

 その気配は転移して直ぐに感じたほど大きくはないが、それでもあまり隠す気が無いらしく、今まで遭遇した今代の神とは比べ物にならないほどに強大だった。

 しかもその強大な力が漏れているだけの力なのだから堪ったものではない。そんなものにこれから挑むというのだから、我が事ながらにとんでもないなとヒヅキは内心で苦笑する。

(これで弱体化しているのだからな……)

 元々が世界を騙して手に入れていた偽りの力だったので、正確にはこれが本来の力とも言えるが、どちらにせよ強大過ぎた。

(いや、これでこそが神なのだろう。しかし、その神の力を除けばそれほど強大な存在ではなかったのかもしれないな)

 それでも確実にヒヅキよりは上であっただろうが、神を斃したことで得られた力というのが一体どれほどのものかヒヅキは少し気になった。気になったところで意味はないので直ぐに忘れたが。

 近づくにつれてはっきりとしてくる今代の神の強さ。ヒヅキ一人ではまず勝てないだろうと思えるが、女性や英雄達、それにフォルトゥナも加えた一行であればまだ分からない。

(しかしまぁ、そんな相手に正面から挑まなければいけないとはね)

 最初から捕捉されている以上、女性の言う通りに奇襲は出来ないだろう。小細工も同様に難しいだろうから、やはり正面から堂々と挑むしかなさそうだった。

 その事実を実感したヒヅキは、内心で小さくため息を吐き出す。今代の神と戦う事は問題ないが、やるからには勝ちたいもの。しかし現実は、強大な敵と正面から切り結ぶしかない。救いは人数差と味方の質の高さだろうが、それであっても難しい相手。

(光の魔導はそうバンバン使えないからな)

 ヒヅキの切り札である光の魔導は一応完成はしているが、それでも強大過ぎるだけに制御がかなり難しい。そう頻繁に戦闘中に使用するのは無理だ。

 それでも今代の神にも十分通用するだろうほどの威力なので、使い時さえ間違わなければ上々の戦果を上げられるだろう。

(それと、あの白い球体か。どうやって使うのか分からないが……やはり投げればいいのだろうか?)

 全身を黒髪で覆った存在から渡された白い球体。独特なしゃべり方だったのでヒヅキは聞き取れなかったが、問題なく聞き取れたフォルトゥナ曰く、その白い球体は今代の神に使用する物らしい。もっとも、どう使用すればいいのかとか、使用するとどうなるのかとかの話は一切無かった。

 なので、ヒヅキは白い球体を今代の神に使用するという事しか知らない。球体なので今代の神に投げればいいのだろうかと思っただけ。

 しかし、もしかしたら投げるのではなくて掲げるのかもしれない。渡された時に何かしら条件を言われなかったので、魔力を通すとか、何処か特定の部位に接触させるとか、相手を弱らせてからなどの細かな条件は無いとは思うが。

 ヒヅキはどうしたものかと悩むも、とりあえず取り出してみて効果が無かったら投げつけてみようと思うのだった。

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