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神域への道149

「………………」

 死体が大量に積み重なっているその部屋の隅から、転移していったヒヅキ達を見詰めていた存在が居た。

 全身を真っ黒な髪で覆ったその存在は、ヒヅキ達が消えていった場所をしばらく眺めた後、スッとその場所から消えたのだった。





 ヒヅキ達が転移魔法陣で転移した先は、夜空の真っただ中のような広い場所であった。

 床に壁に天井にと全てが半透明で、外は藍色のような薄い黒。そこに星のような白い光の点が散りばめられて瞬いている。

 そんな場所ながらも、部屋にはくすんだ白色の大きな柱が整然と並んでいた。

『あれは……』

 周囲を見回したヒヅキは、正面の遠くに人だかりを見つける。それも見覚えのある集団。

『もう全員集まっていたという事かな?』

 距離があるうえに集まっているので、正確な人数までは視認できないが、遠目には全員集まってそうだった。感知魔法では感知出来ない者も居るので、やはり人数までは分からない。

 何にせよ合流する予定だったのだから、それは別にどうでもいい。周囲には何か仕掛けられている感じもないが、それでも二人は慎重な足取りで近づいていく。

『とりあえず、あれは本物だよね?』

『はい。間違いなく共に建物内に入った者達と同じかと』

『そっか。ならいい。英雄達がどういった道でここまで来たのかは知らないが、という事は、ここがこの建物の終点という事なのかな?』

『おそらくですが。あの場所には転移魔法陣が在るのでしょう』

『ああ、全員合流するまで解析でもしているのかな?』

 そんな話をしながら二人は集団の近くに到着する。しかし、ヒヅキ達に視線を向ける者は誰も居なかった。といっても、気づいていない訳ではないだろう。そんな事よりも転移魔法陣の解析の方が大事というだけで。

 ヒヅキもその気持ちが理解出来たので、特に気にせず集団の中心へと目を向ける。周囲の者はしゃがんだり腰を曲げたりして床に目を向けているので、直ぐにそれは視界に入った。

『やはり魔法陣か。転移魔法陣かどうかは英雄達が邪魔で読み取れないけれど』

 小さく頭を振ると、ヒヅキは思考を切り替えてこの場に居る英雄達の人数を確認する。ついでに女性の姿も探した。

『……女性とクロス以外は全員居るようだね。女性とクロスが何処に居るか分かる?』

 人数を数え終えたヒヅキは、フォルトゥナの方へと視線を向けてそう問い掛ける。

『不明ですが、もしかしたら先に転移したのかもしれません』

『そういえば、大分前から一緒に行動していたみたいだったからね。あの時感知出来たのが、この転移魔法陣を解析していた時だとしたら、先に転移して確認ぐらいはしているか。という事は、この転移魔法陣は双方向に繋がっているのかな?』

 魔法陣に群がっている英雄達が邪魔で魔法陣はよく見えないが、状況から考えてそんなところだろうとヒヅキは一人で納得して頷いた。

『まぁ、誰かに訊けば分かるかもしれないか』

 という訳で、ヒヅキは近くに居た英雄に女性とクロスについて尋ねる。それと全員が見ている魔法陣についても。

 そうして何人かに話を聞いてみたところ、フォルトゥナの推測通りだった。魔法陣も転移魔法陣で、双方向に繋がっているらしい。

 その転移魔法陣の行き先だが、解析した限りは別の空間だという。だが、どの空間かは不明。おそらくここ同様に、今代の神が創った空間だろうという話だった。

 女性とクロスは、その空間の確認へと少し前に発ったらしい。なので、もうしばらくは戻ってこないだろうと、ヒヅキが話を聞いた英雄達は言っていた。

 ヒヅキは転移魔法陣の方に視線を向けたが、自分よりも英雄達の方がしっかりと解析出来るだろうと思い、女性とクロスが調査から戻ってくる間は休憩しながら魔導の修練をする事にした。

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